「みたらしバターサンド」が大ヒット 京都の和菓子店『梅園』…100年の歴史を変えた跡継ぎ娘の挑戦 両親の反対押し切り百貨店進出、働き方改革も
まいどなニュース / 2024年11月9日 19時55分
1927(昭和2)年創業、世代を超えて親しまれている京都の甘味処「梅園」。名物は創業当時から変わらない、特製の甘じょっぱいタレで仕上げるみたらし団子。あんみつ、夏のかき氷や冬のぜんざいなど昔ながらのメニューで人気の名店。
現在の経営者である三代目は、当初は店を継ぐことを両親に反対されるも、それでも自分の信念を曲げなかった熱き女性。誰にも負けない情熱を燃やし、突き進んで来たストーリーに迫ります!
話を伺ったのは「梅園」三代目の西川葵さん。どこかおっとりした雰囲気が漂うイメージとは裏腹に、2010年に経営を両親から引き継ぐと店舗数を2店舗から6店舗に、商品ラインナップを3倍以上に、そして百貨店への出店まで実現させた超やり手!しかしそこには、「跡を継ぎたい娘」と「継がせたくない両親」の物語がありました。
約100年続く人気店「梅園」 店を継ぎたい娘が、継がせたくない両親を説得した驚きの作戦とは
甘党茶屋「梅園」のひとり娘として生まれた葵。実家の環境から自身もお菓子作りが大好きになり、和洋様々なお菓子を作る子ども時代を過ごします。学校に持って行って友達に配り、「美味しいね」と喜んでもらえることが何より嬉しかったそう。この頃より、将来は店を継ぐものだという意識が芽生え始めていたようです。
時は経ち、高校3年生になった葵。両親に大学進学や将来何をやりたいかについて尋ねられ、「梅園を継ぐ」と伝えたところ、なんと大反対されます。葵は幼いころから当たり前のように「梅園を継ぐつもり」でいましたが、娘に大変な思いをさせたくない両親は「継がさないつもり」と一点張り。そこで葵は継ぎたい気持ちを内に秘め、両親を安心させるためにあっさりと大学の「国際文化学部」への進学を決めます。
しかし、そこには両親には伝えなかった葵の戦略がありました。これから京都は外国人観光客が増えると予想し、大学での学びは梅園の経営にも役立つだろうと考えていたのです。さらにいち早く仕事を覚えるため、アルバイトならやってもいいという許可を得てお店で働き始めることに。
そこから3年が経ち大学卒業を控えたある日、ついに本性を表します。今後について両親に問われた時、就職活動をしていないことを打ち明けたのです。それは、「梅園」を継ぎたい気持ちが本物だと認めてもらうためでした。「しゃあないな」と、その本気度をようやく両親に認めてもらうことができ、狙い通り梅園に入社を果たしました。
念願の入社後、早々に訪れた挫折。悔しさをバネに新店舗をオープン
念願の梅園に入社した葵。「歴史を守ることも大事やけど、新しいメニューがないのはつまらない」と売上アップを狙い、これまでにない斬新な新メニューを次々と開発し、販売を始めました。しかし、結果は惨敗。常連のお客様はご年配の方が多く、「いつものみたらしが食べたい」と入店した時点で注文が決まっている人ばかり。葵は入社早々初めての挫折を味わいます。
悔しい思いをした葵は、新しいメニューも注文する客層を取り込もうと新店舗設立を決意。ちょうど学生の頃はカフェブームで、『カフェ行こう』と考えた時の選択肢に梅園は入らなかったことを思い出し、カフェスタイルの店舗で新メニューを出すことを考えます。
そして、この計画が両親に反対されることも想定済みでした。説得するため物件や内装など細部に至るまでしっかりと準備。計画を固めてから提案した結果、熱意が通じて無事に認めてもらうことができ、2010年に【うめぞのCAFE & GALLERY】をオープンさせました。
葵の狙い通り、【うめぞのCAFE & GALLERY】には若者客が訪れ新メニューも評判を得ます。カフェの一番人気メニュー『抹茶のホットケーキ』は、和のテイストとメレンゲを使ったふわふわ感を感じてもらうべく、「お箸で食べる」という驚きのスタイル!普段試作で食べていたスタイルをそのまま提供し、その食べやすさも相まって人気メニューとなりました。
三代目になった葵!労働環境改善にも取り組む跡継ぎ娘の止まらない快進撃
精力的な活動が両親に認められ、2014年に三代目を継いだ葵。経営者として次なる改革を行うため、社員に聞き取りを行ったところ「ギリギリの人数で働いているから、繁忙期に風邪をひいたりしても休めない…」との声が。ここで労働環境の改善が必要と気付かされます。
葵は一人当たりの負担を減らすべく、従業員の人数を増やすことを決意。人を増やすためには新店舗の設立と売り上げを上げることが必要になるため、少人数でも売り上げを伸ばせる百貨店への出店を目指すことになりました。
しかしその壁は高く、高望みはするなという両親の説得により断念。かと思いきや、葵の「何か問題が起こったら解決したい」という性分は変わりません。どうすれば百貨店に進出できるのかを考え、百貨店で扱われる商品は贈答用で日持ちすることに加え、年齢層の高い方向けの高級感が必要だと考えます。
そこで、葵は2016年に百貨店進出を見据えた新店【うめぞの茶房】をオープン。餡をわらび粉と葛で固めた『かざり羹』という創作和菓子を販売し、百貨店進出の足掛かりをつくります。
ついに百貨店に進出!店の名物に原点回帰した商品が大ヒット!
百貨店進出の足掛かりの商品も完成したころ、加えて葵は日本中の和菓子作家と共同で【山滴る甘党市】を開催。洋菓子が全盛の時代に改めて和菓子の魅力を感じてもらうこのイベントが大盛況に!
この光景を目の当たりにしたジェイアール京都伊勢丹の担当者から電話があり、見事、百貨店への出店が決定しました。しかし、条件として「梅園」の強みを活かし、名物のみたらし団子をベースにした新商品を作ってほしいと要望を受けます。
この要望を受け、生まれたのが 『みたらしバターサンド』。梅園名物「みたらし団子のタレ」をふわふわのバタークリームでくるみ、さっくりと焼き上げたクッキーでサンドした商品です。
そして2019年、ついに念願だった百貨店に【梅園oyatsu】をオープンすることに。贈答用の日持ちする商品でこれまでの店舗とは違う新たな客層をとらえることにも大成功!
目標にしていた労働環境も順調に改善に向かっており、今では有休も消化できるくらいの余裕が出てきたとのことです。
そんな梅園のもしマネポイントは…「変わらないために変わり続けること」。リブランディングにより進化を遂げる甘党茶屋「梅園」三代目 西川葵さんの挑戦はまだまだ続きます。
番組情報
〇番組名
日経スペシャル もしものマネー道もしマネ
〇内容
『もしもの時』に備えるマネー道!マネー活用バラエティ!
〇放送日時
テレビ大阪 第1~3日曜日 午後2時放送!放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中。
(まいどなニュース/クラブTVO編集部)
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