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108歳女性…夫が戦死、世界最高齢の現役理容師に 「お迎えが来ないように」と毎日続ける当たり前のことは?

まいどなニュース / 2024年11月5日 6時55分

箱石シツイさん(写真・栗栖誠紀、宝島社提供)

 世界最高齢の現役理容師として働く女性がいます。栃木県で「理容ハコイシ」を営む箱石シツイさん。11月10日に108歳を迎えます。2023年に世界最高齢の現役理容師に認定され、立てた目標は「109歳までハサミを握りたい」。「なるべくならお迎えが来ないように、今はそのためにできることをやっています」というシツイさんの生き方とは。

「考えすぎない、余計なことで悩まない」

 シツイさんは1916年11月、栃木県那須郡大内村で農家の5人きょうだいの4番目として生まれました。12歳で奉公に出て、14歳で上京し、理髪店で働きながら理容師資格を取得。22歳のときに結婚し、新宿で理髪店を開業。2人の子どもに恵まれましたが、1944年に夫は戦争で出征。シツイさんは終戦から8年後、夫の戦死を知りました。2人の子どもを抱えて故郷に戻り、1953年に実家の近くに「理容ハコイシ」を開店。70年以上に渡り店を切り盛りします。日課は朝晩の体操で、2021年の東京五輪では聖火ランナーも務め話題になりました。

 「年齢を意識せず、余計なことを考えすぎなかったからこそ、ここまで生きて来られたのかもしれません。困難も多かったので無我夢中、結果的にそのように生きてきてしまった、という感じなんですけれど。だから『考えすぎない、余計なことで悩まない』って、とても大事だと思うんですよ」(シツイさん)

 「夜になるとね、『今日も無事に終わりました、ありがとうございます』と、仏壇の夫に手を合わせてから眠ります。そして目が覚めて、朝になってたら新しい一日が始まっているから、またその日にやることを、きちんとやる。そのくり返しでした。そうして気がついたら108歳に、というのが実感です」(シツイさん)

一番のモットーは?

 シツイさんの教育方針は「ひるまず、うらやましがらず、あらそわず」。また、いい加減にならないこと、機嫌良くしていることを大切にしているといいます。

 「自分のことは自分でやる。日々の暮らしの中で、これが一番のモットーです。それから、いつも機嫌良くしていたいと思っています。家族ばかりでなく、わたしを心配してくださる親戚やご近所の方、ケアマネージャーさんやたくさんの方にお世話になって暮らしています。その方々とも楽しく仲良くしたいですから、まずはわたしがいつも機嫌良くして、笑顔で『ありがとうございます』『おかげさまで』が言えるようにしていたいのです。こちらが笑えば、みなさんも笑顔で返してくださいますよ」(シツイさん)

初の著書に「なんだか気恥ずかしく…」

 11月11日に初の著書「108歳の現役理容師おばあちゃん ごきげん暮らしの知恵袋」(宝島社、税込み1430円)の発売を控えるシツイさん。自身が考案し、35年以上欠かさず実践する体操も写真入りで掲載しました。

 「特別変わったことをしているわけでもないわたしのことを本に残していただけることになりまして、うれしいのはもちろんなんですが、なんだか気恥ずかしくも思っております。考えすぎない。余計なことで悩まない。いつも機嫌良くしている。一つ一つをきちんとやる。まずは自分自身を整えて、自分のことは自分でやる。当たり前のことですが、忙しい毎日でそれを忘れがちなみなさんに読んでいただけたなら、わたしが生きている証になるのではないかと思います」(シツイさん)

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