マンション購入で始めた「夢の自宅サロン」はわずか半年で閉店 “見落としたルール”に翻弄された30代女性の結末
まいどなニュース / 2024年11月16日 18時35分
エステサロンにネイルサロン、ヨガのプライベートレッスンやテーブルコーディネート教室など、自宅の一部を活用して、少人数のお客様にプライベートな時間を提供するサロンを開業したい!という方が増えています。
SNSが普及したことで、ホームページ作成などのスキルがなくてもサービスを簡単にPRできるようになったことや、実際に「自宅開業している女性たち」のライフスタイルを手軽に見て参考にできるようになったことで、夢を実現しやすい環境が整っています。
しかし、自宅サロンは簡単に「成功」できるものではありません。Aさん(関東在住、30代、主婦)も、マンション購入をきっかけに、夢だった自宅サロンの開業に挑戦したものの、わずか半年で「撤退」を余儀なくされました。
夢が結婚・新居探しで一気に現実に
Aさんは子どもの頃からオシャレが大好きで、大手化粧品会社のビューティーアドバイザーとして働きながら、ネイルサロンスクールに通ったり、エステティシャンの資格を取るために転職したりと、美容への情熱が人一倍強いタイプでした。
そんなAさんが10代の頃から夢見ていたのが、いわゆる「おうちサロン」です。
完全予約制で、1日数組のお客様にエステやネイル、メイクレッスンやファッションコーディネートを丁寧に提供するサロンを開くことを目標に、これまで様々な努力を重ねてきました。しかし、決して高くない給料の中で、一人暮らしの家賃や美容関係の支出をまかない生活では、なかなか開業資金が貯まらず、「憧れ」の段階が長く続いていました。
そんなAさんの夢が現実に近づいたのは、結婚と新居の購入がきっかけでした。
友人の紹介で出会ったAさんの夫は、出張が多いサラリーマン。長年、会社の独身寮に住んでいた彼との結婚が決まり、すぐに独身寮を出る必要があったため、二人でマイホームを購入することに。Aさんが昔からの夢だった「おうちサロン」について話すと、「子どもが生まれても、自宅なら仕事を続けやすいだろうし、自分も出張が多くて家を空けることが多いし、一室くらい専用で使ってくれても構わないよ」と笑顔で賛成してくれました。
駅から徒歩10分以内のアクセスの良い物件が希望だったため、選択肢が多かったマンションを最終的に購入。築20年、50戸程度の分譲マンションに決めました。
まさかNGとは知らずに
通常のサロン開業では、不動産賃料や保証金・礼金などの初期費用が大きな負担になりますが、自宅サロンならそれらが不要なため、自分の貯金だけでインテリアや什器、ネイルキットをそろえることができました。デザイナーの友人が格安でお店のロゴも考えてくれ、念願の「おうちサロン」開業にこぎつけました。
美容関係の投稿をしてきたインスタグラムでも反響があり、知り合い以外のお客様も少しずつ増えてきたそのタイミングで、マンション管理組合の名前で「管理規約違反についての調査」という書類が突然届きました。
驚いて中を確認したところ、そこには「当マンションは居住専用となっています。他入居者からA様所有の物件について、商用利用がされているのではないかとの問い合わせがありました。該当の場合、直ちに利用の中止ないしは退去を要請します」といった文言が記載されていました。
居住用マンションで開業するなら必ず管理規約を確認
Aさんも夫も知らなかったのですが、一般的な居住用マンションの利用規約には「商用利用の禁止」という項目があり、多くの場合、民泊の貸し出しや住民以外が出入りするような事務所利用は禁止されています。さらに、商用利用の有無は火災保険の適用にも関わってきます。
結局、Aさんは泣く泣く「おうちサロン」を諦めることになりました。
「せっかくお客様もついてきたところですが、事務所を借りるとなると正直赤字になってしまいます。せっかく揃えた什器ももったいないですが、少しずつメルカリで売ります」とAさん。「しかし、こんな決まりがマンションにあるなんて、みんな知っているんでしょうか……?」
確かに契約前に管理規約を隅から隅まで目を通す人は少数派なのかもしれませんね。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)
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