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中国の転売ヤーがはびこる理由 日本商品好きの国民性と10倍の市場→濡れ手に粟のボロ儲け 撲滅のヒントは中国人消費者の意識変革

まいどなニュース / 2024年11月25日 7時0分

『転売ヤー 闇の経済学』(新潮新書)著者の奥窪優木氏(撮影:石井隼人)

転売ヤー撲滅のヒントは…中国にあり!?

話題の書籍『転売ヤー 闇の経済学』(新潮新書)は、ノンフィクションライターの奥窪優木氏が巷を荒らす様々な転売ヤーたちに密着し、転売の興味深いカラクリを克明に記したルポルタージュだ。果たして奥窪氏が約2年間の密着取材を通して辿り着いた、転売ヤー撲滅の特効薬とは?

日本商品転売はビッグビジネス

コロナ禍以降、日本では経済大国・中国の転売ヤーによる暗躍が甚だしいという。「中国は14億人くらいの人口があり、そのうちのたった0.1%が日本の限定品を欲したとしても、その需要は凄まじい。転売ヤーからしたら日本に比べて10倍の市場があるわけで、まさにビッグビジネスになりやすい。日本で騒動を起こす外国人転売ヤーのほとんどが中国人なのはそのような背景があるからです」

それは裏を返せば日本産の商品が人気であるという証拠。インバウンドで生まれた“爆買”という言葉がある様に。「各企業なりの戦略があるので、日本だけで売るという判断になるのは自由です。しかしそれだけの転売需要があって、かつ転売が社会問題化しているのであれば中国でも正規で商品を売ればいいのにと僕は思います」

奥窪氏が苦言を呈するのにはそれなりの理由がある。かつて中国では日本の商品を模したパクリ商品が溢れかえり、問題になったことがある。国際的な外圧によって模倣商品は駆逐されていったが、同時に中国人の間で「ニセモノって恥ずかしい」というそれまでなかった認識が芽生えたことも、パクリ商品撲滅の一助になったらしい。

「それが高じて、今では『日本で売っている本物が欲しい』に変化。ニセモノに満足していない人たちが本物を欲しがった結果、転売品に手を出すというサイクルになっている。中国の生活水準は20年前に比べて上がっていて、ミドルクラスも正規品を買える所得になった。そこから導き出せるのは『ニセモノって恥ずかしい』と同じように『転売品って恥ずかしい』という風潮が生まれれば、ニセモノ問題が収束したように、転売品市場の規模も縮小していくのでは?ということです」

大切にすべきファンが悲しむだけ

商品を売る側にも再考を促す。

「限定品商法を見直す時に来ているのではないかと思います。個数販売の供給が限られると、(ファンの)収集欲がかき立てられるし、転売ヤーも当然そこを狙う。転売ヤーに『転売してください!』と呼び掛けているようなものですから。転売ビジネスが確立している今の状況では、限定商品が転売ヤーの恰好のターゲットにされるのは自明の理。悲しい思いをするのは本来大切にすべき純粋なファン達です。決定的な転売ヤー対策が考案されていない中では、限定品商法は少し減らすなども検討の余地があるのではないでしょうか」

奥窪氏は本書にこう綴る。『「持てる者」が「持たざる者」の購入チャンスを奪い取るような状況に陥っている。「商品への愛」よりも「いくら払えれば買えるのか」で購入可否が決まるのが転売市場だ』と。

「約2年の取材を通して感じたのは、果たして悪いのは転売ヤーだけなのか?ということ。転売ヤーが儲かる状況を放置しているのも問題だと思います。本書を通して転売ヤーにはどのような背景があり、どのような行動原理で動いているのかを知っていただき、そこから転売ヤーへの対策を考えていただけたら幸いです」と期待している。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

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