映画館にエチケット袋持参? 途中退席相次ぐ残酷ホラー「テリファー 聖夜の悪夢」監督インタビュー 「もし無理かもと思ったら観なくてもいいよ」
まいどなニュース / 2024年11月27日 11時0分
殺人ピエロがあのジョーカーを打ち負かした!?
失神!嘔吐!が代名詞になった超残酷スプラッター映画シリーズ第3弾『テリファー 聖夜の悪夢』が、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を抑えて全米興行収入ランキング初登場1位を記録。11月29日の日本公開を前に、『テリファー』の生みの親で全シリーズの脚本・監督のダミアン・レオーネがオンラインインタビューに応じた。
ケガをするから失神しないで
ピエロ風メイクを施した謎の殺人鬼アート・ザ・クラウンがまたまたカムバック。クリスマスイヴを舞台に、年齢・性別関係なく殺戮の限りを尽くし、出血大サービスのスプラッターパーティーを開催する。
全米では『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を抜き、たった4日間で2152万ドル(約32億円)を叩き出し、興行収入ランキングで堂々の第1位に。アート・ザ・クラウンがジョーカーをぶった斬ってしまったわけだ。
この快挙にご本人は「まさにシュール!の一言だよ。アメリカンコミックスを代表するキャラクター、ジョーカーをアート・ザ・クラウンが打ち負かしたなんてね」と破顔。「とはいえ『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は評判がマジで悪いから、そこに上手いこと『テリファー 聖夜の悪夢』が乗ったと思われるのは不本意かな。でもまあ、全米1位を獲ったのは事実で素晴らしいことだから。粛々と受け入れているよ」と実に謙虚だ。
全世界で嘔吐、失神者が続出した…という触れ込みで名を挙げた『テリファー』シリーズ。最新作となる本作も、イギリスでのプレミア上映時に11人が途中退場し、うち9名はオープニングシーンで限界に達し、1名が嘔吐したという伝説を刻んだ。
その真偽はひとまず置いておくとしても、今作での残酷描写の惨たらしさはシリーズ最高峰。失神率も嘔吐率も前作の3倍を記録しても不思議ではない。これら観客の壮絶な反応をダミアン監督はどう受け止めているのか。
「スプラッターホラー映画としては“途中退席”“失神”“嘔吐”というリアクションは光栄なことだよね。でもまあ“失神”は好ましくないかな。だって危ないよ。どこかの映画館では実際に倒れてケガをした人もいたらしいからね。映画とはそもそも現実逃避の娯楽であって誰も傷つけることのない楽しいものだから。もし“無理かも…”と思ったならば観なくてもいいよ」
劇中で凄まじい人体破壊殺人の数々を惜しげもなく披露した人とは思えぬジェントルぶり。ちなみにダミアン監督は「本物の手術や事故の様子を見るとか無理」という普通の人だったりする。
メインストリームのキャラクターに
特殊メイクアップアーティストでもあるダミアン監督のホラー愛を凝縮させたかのようなキャラクター、アート・ザ・クラウンは一躍ホラー映画界のアイドルになった。日本版イメージソングを担当するDIR EN GREYのボーカル・京も「めっちゃ可愛い。過去最高にプリティです」と推している。
「残酷ホラー映画マニアというアングラかつニッチな層からの支持しかなかったものが、シリーズを重ねていく中で幅広い層に支持されてきて嬉しいよ。アート・ザ・クラウンが『13日の金曜日』のジェイソン、『エルム街の悪夢』のフレディ、そして『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスに肩を並べるホラーアイコンになったのかどうか。それは観客の決める事ではあるけれど、メインストリームのキャラクターになったことは間違いないと思う。グッズが発売されるし、ハロウィンで仮装している人もいた。人気ゲームにも登場した。アート・ザ・クラウンの魅力にみんなが気づいてくれて大満足さ」
『ゾンビ』『13日の金曜日』の仕事で知られる特殊メイクアップアーティストのトム・サビーニ、カルト映画『デビルスピーク』『アイスクリームマン』の怪優クリント・ハワードらホラーファンが喜ぶキャスティングも素晴らしい。ダミアン監督には『テリファー』シリーズを是非ともライフワークにしていただきたいものだ。
「最高なことに前作『テリファー 終わらない惨劇』の脚本を書いている時に壮大なアイデアが降って湧いてきた。全米での『テリファー 聖夜の悪夢』の成功もあってこれからパート4の製作に入るわけだけれど、そこで『テリファー』シリーズはひとまず休止かな。とはいえホラー映画シリーズの過去の例に漏れず蘇ることはあるだろう。そもそもアート・ザ・クラウンは永遠の存在だからね。まずは『テリファー 聖夜の悪夢』を超えるソリッドな続編を作れるように頑張るよ」と約束してくれた。
『グーニーズ』のTシャツ着用でインタビューに応じてくれたダミアン監督。背後の冷蔵庫の扉には『ゾンビ』『ロストボーイ』のステッカーが貼ってあった。根っからのホラー映画好きが生み出したアート・ザ・クラウンは、彼が短編映画時代から描き続けてきたこだわりのキャラクターだ。そんなアート・ザ・クラウンが大暴れするシリーズ第3弾が全米1位を獲得するというエモい快挙。ここ日本でも映画館にエチケット袋持参で祝福しに行こう。…でも本当に凄まじい描写のつるべ打ちなので覚悟はしてください!
(まいどなニュース特約・石井 隼人)
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