家族の携帯番号なんて覚えてない…こんなときに影響が!? 「使い方がわからなかった」災害用伝言ダイヤル171の利用方法、問題点は?
まいどなニュース / 2025年1月15日 7時5分
災害時の連絡手段の有効なものの一つである「災害用伝言ダイヤル(171)」や「災害用伝言板(web171)」。電話などが通じないときに重宝しますが、SNSでは「いざ、使おうと思っても利用方法がわからなかった」「使い方を知らなかったために困った」という声も。
通常でも普段使ったことのないサービスは手間取るもの、それが災害時となればなおさらです。そこで、このダイヤルは毎月1日・15日、正月三が日、「防災とボランティア週間」の1月15日~21日、防災週間の8月30日~9月5日に体験利用できます。
はたして、どんなサービスなのか、使い方、起こりうる問題点の解決法なども含めて、提供しているNTT西日本広報室に取材しました。
開発のきっかけは「阪神淡路大震災」…使い方は?
NTT東日本・NTT西日本が提供している「災害用伝言ダイヤル(171)」や「災害用伝言板(web171)」。もともと1995年の阪神淡路大震災の際に電話回線の安定しない通話不能状態が続き、落ち着くまでに時間を要したことが契機となり開発されたそうです。
伝言の録音時間は30秒以内。加入電話、公衆電話、携帯電話から利用できます。
<災害用伝言ダイヤル利用方法>
①ガイダンスに従って171を入力
②録音する場合は1を、再生する場合は2を、暗証番号を利用して登録する場合は3を、暗証番号を利用して再生する場合は4を押す
③連絡を取りたい相手の電話番号を入力(固定電話は市外局番から)
④伝言を録音
伝言は20件まで登録でき、その上、音声は文字化され「災害用掲示板」ともリンク。web171にアクセスし、電話番号を入力すると、web上でも伝言内容を確認することができます(体験利用時は体験期間終了後に消去されます)。
家族の電話番号が分からない?
手順としては上記のようになるのですが、重要なのが「安否を知りたい相手の電話番号」です。
登録済みのアドレス帳やLINEやInstagramなどSNS上で簡単に連絡を取ることが可能となった昨今、「電話番号がわからない」「覚えてなかった、控えてなかった」ためにうまく利用できないことが予想されます。
筆者も体験利用日に子どもたちと試してみたところ、やはり親子揃って互いの携帯の番号を覚えていないことを認識。災害時は、電話が集中して繋がりづらく、携帯電話の充電がなくなってしまう、故障・紛失してしまうといった状況も考えられます。
このサービスについて、提供しているNTT西日本広報室の担当者に詳しく聞きました。
伝言のポイントは「あ・い・た・い・よ」
――実際に体験してはじめて、安否を知りたい相手の電話番号が必要なことを知りました。
家族間においては、家の代表番号や、固定電話の設置がない場合は保護者の番号にするなど、あらかじめ決めていただいておくのが良いかと思います。
――1つ番号を決めたら、スマホのメモ機能に入れておく、紙に書いて所持し紛失しないようにしておく…などどんな状況でもこのサービスが使えるよう共有し、きちんと控えておかなければと感じました。録音できる30秒もいざとなると何を話すべきか混乱してしまって。
以下の内容を伝言のポイントとしてお伝えしています。
「あ」あなたのお名前
「い」今どこにいるか(場所)
「た」誰と一緒か
「い」痛い所はないか
「よ」予告(次の行動)
「あ・い・た・い・よ」で伝言を残すよう心掛けてみてください。
――それは分かりやすいし、子どもにも理解しやすいです。ちなみに、過去の災害時の利用状況は?
171とweb171の登録数・再生数の合計になりますが、2011年の東日本大震災では約380万件(3/11~8/8)、2016年の熊本地震では約24万件(4/14~5/29)、2024年能登半島地震では約93万件(1/1~6/25)の利用がありました。
――直近の能登半島地震でも活用されていたのですね。
災害発生後すぐに運用を開始し、被災地での重要な連絡手段として貢献しました。通信が全くできない地域についてはポータブル衛星電話等いち早くヘリで届けるなど、通信確保の支援も実施しました。
また、災害時に電話が繋がらなくなった時の連絡手段の一つとして「公衆電話」があります。需要を踏まえて設置台数は削減していますが、頻発する自然災害への備えとして「災害時用公衆電話(特設公衆電話)※」の設置を進めています。公衆電話と同様、停電時も利用でき、大規模な災害時は一般の電話回線よりも繋がりやすく、無料で利用できる特徴があります。
※災害時、避難所等の施設管理者により電話機が設置され利用可能となるので、通常時はご利用いただけません。
――公衆電話になじみのない世代も増えてきているかと思います。
公衆電話ボックス内には緊急連絡先(110、119など)と併せて使用方法を掲載しています。また、他の企業さまと共同で小学校などにおいて開催する「防災講習会」のなかで、公衆電話の使い方をレクチャーするといった支店ごとの区々の取り組みや活動も行っています。
――171も公衆電話の使い方も親子で知っておくことが大事なんですね。
そのためにも、防災月間にあわせたニュースレターや、発災時のテレビテロップ・新聞への掲載等による周知を今後も継続していきたいと考えています。
◇ ◇
NTTドコモモバイル社会研究所「2010年-2024年一般向けモバイル動向調査」によると、災害用伝言ダイヤルの認知率は2024年には60%となり、東日本大震災のあった2011年、全国的な気象災害のあった2017年の後に認知が拡大しています。
また、災害時の連絡方法を決めている割合は全体で3人に1人。10代が43.7%と割合が最も高く、おそらく避難訓練や防災学習など連絡方法を決める機会があることが伺えます。逆に30代は28.9%と最も低い結果に。
連絡方法の手段としてもっとも高いのは「スマホの通話」、次いで「スマホのメール」。「災害用伝言版」や「災害用伝言ダイヤル」は20%前後という結果でした。
「災害時に、家族や知人との間での安否の確認や避難場所の連絡等をスムーズに行うためも『災害用伝言ダイヤル』をぜひ活用していただければと思います。スマホからの通話で電話回線がひっ迫すると、通常の回線はもちろん110番や119番などの命にかかわる緊急連絡も繋がりにくくなることになります。この伝言ダイヤルや伝言板を多くの方が利用することで、回線のひっ迫緩和にもつながります」とNTT西日本広報室の担当者。
能登半島地震から1年が経ち、阪神・淡路大震災から30年が経とうとしています。災害時の連絡手段を知っておくことは落ち着いた行動にもつながることに。「防災とボランティア週間」の1月15日~21日も体験期間となっているので、この機会にサービスの内容についてあらためて確認し、共有しておきましょう。
<出典>
NTTドコモ モバイル社会研究所:全国15~79歳男女Web調査「2010年-2024年一般向けモバイル動向調査」第6章「防災・減災」
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)
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