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寂しいのか、本能なのか、悟りを開いたのか…相棒に先立たれた31歳のホッキョクグマ 寄り添う飼育員の思い

まいどなニュース / 2024年12月25日 12時30分

おもちゃ遊びしながらふと観覧側を見るクッキー(2024.12撮影)

「寂しいのか本来の単独暮らしの習性なのか、相棒がいなくなって悟りを開いたかのように物静かに過ごしています」

愛知県の「豊橋総合動植物園(のんほいパーク)」のホッキョクグマ、クッキー(31歳メス)の近況を公式ブログが伝えました。ずっと同居してきたメスが今年4月に旅立ち、環境が大きく変わったのです。最近のクッキーの様子を飼育担当の鈴木克巳さんに聞きました。

毎日11:00と14:30の「もぐもぐタイム」。屋上から飼育員が投げ入れるエサの魚を探してプールを泳ぐなど、活発な姿を観察できると人気です。

—浅瀬に少しずつ投げ入れていますね

「プールに無理に誘導するようなことはしませんが、様子を見ながら投げています。今は寒いのもあってなかなか入らないこともありますが、入りたければ入りますので」

—かなり強く投げ入れているように見えます

「音で気づいてもらうためです。クッキーは目が悪いのでね。来園当時からで、ひどい近眼なんです」

—魚の場所をお客さんが教えたりも

「みなさん優しいですね。プールになかなか入らなくても『今は入りたくないんだね』『寒いもんね』とか言葉をかけてくれます」  

—高齢ゆえのエサの工夫は?

「歯が減ってきたので好物の馬肉はミンチにして、ペレットは水でふやかしています。歯石が付くので、若いときはしないことです」

—寒さ対策も?

「濡れていたら寒いだろうから部屋はドライヤー代わりにエアコンをかけて、小さい電気ストーブも使っています。建物の隙間は風が入らないようビニールシートでふさいでいます」

ホッキョクグマは繁殖時期や子育て期間を除けば単独で暮らす動物ですが、クッキーと亡くなったキャンディは長年一緒に過ごし、2頭が寄り添う姿は人気でした。今でも、もう1頭の姿を探す人もいます。

飼育員歴41年の鈴木さん。たくさんの動物との別れも経験してきました。体調を崩したキャンディが最後に口にしたのは馬肉と鶏の肝だったそうです。

「トングで口の中に入れてやったら、食べました。ああ、食べてくれた、このまま回復してほしい、そんな期待もしました。病気が進んでいたのによく頑張ったと思います。呼んだら頭を上げてこっちを見てくれて。もう、見えていたかは分かりませんけどね」

相棒を失ったクッキー。「キョロキョロしたり匂いをかいで探しているようでしたが、どこにもいないと分かったみたいです。キャンディがやることについていくタイプで、頼っていたと思います。雷がひどい日に早く収容しようかと思ったら、2頭で寄り添っていたのでそのまま様子を見たこともありました」と鈴木さんは目を細めます。

「ひとりになって心配でしたが、今は淡々としています。おばあちゃんなのでね、余裕のある動き、貫録があって、オーラがありますよね。あの皮の弛みも年のいったクマならではの魅力だと思います。種蒔きした草を食べたいときは食べて、気温を見ながら部屋の扉を開けるので、入りたいときは入ってもらって。様子を見ながら選択肢を増やしてやりたいです」

のんほいパーク(豊橋総合動植物園)公式サイト

https://www.nonhoi.jp/blog/p9866/

(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)

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