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森のようになった廃墟に5匹の子犬が…イノシシの頭が転がる現場でボランティアが保護 「年間50~60匹を保護する」という野犬の多い地域

まいどなニュース / 2024年12月26日 15時16分

廃墟の入口に子犬たちの姿が…ボランティアの捕獲作戦!(まゆさん提供)

「本日 子犬目撃情報あり
相棒ご夫妻が緊急で走って現場確認してきてくれました
2ヶ月半過ぎごろの子犬が5匹はいるそうです」

森と化した廃墟に5匹の子犬がいたことを、徳島県内で野犬や野良猫の保護活動などをしているボランティア「まゆ」さん(@mayu.318.mayu)がInstagramで報告。同じボランティアメンバーの夫妻が散歩中、近所の廃墟から子犬たちが出入りするのを目撃し現場に入り5匹を確認し、まゆさんに連絡したといいます。

「メンバー夫妻から連絡を受け、12月1日に捕獲器を持参し現場へ向かいました。子犬らが廃墟の入り口に。網でもギリギリ捕まえられると判断したので、そのまま森のような廃墟の中に入ったんです。辺りには親犬が運んできたであろうイノシシの頭(狩猟者が捨てたもの)が転がっており、子犬らの食料にしているようでした。何とか、建物などの隅っこに逃げたりした子犬と逃げ遅れた子犬2匹を素手で捕獲できましたが、あとの子犬はどこへ逃げたのか分からなくなってしまって…その後またメンバー夫妻と合流し、森の中を探し回るも気配もなく17時となり暗くなってきたので捜索終了としました」

保護した子犬は5匹…鳴いていたもう1匹はどこに?

この時、保護できたのは子犬2匹。残りの子犬を夕方まで探し回ったものの見つからず。捜索を止めて、持参した捕獲器を仕掛けてまゆさんたちは帰宅しました。

「保護初日、私は夕方までで捜索を終えましたが、メンバー夫妻はいったん帰宅し捕獲器に張り紙をするために現場に再来してくれました。何と、子犬が新たに3匹捕獲器に入っていました。当初目撃されていたのは5匹。どこかで鳴いている声がして、もう1匹子犬がいたんです。翌日も探したものの、見つからず…捕獲器にも入らず。おそらく1匹になったため母犬が自分と行動をともにしていると思われます。またもともと保護活動エリアではなかったこともあり、残り1匹の保護は断念しました」

保護した5匹の子犬は、雌が3匹と雄が2匹。いずれの子犬も皮膚がただれていたり、ハゲていたりしていたとのこと。まゆさんが、病院へ連れて行きました。

「子犬たちのハゲ具合から真菌が疑われましたが、2種類の検査をしても検出されず。ただ犬の真菌は見つけにくいとのことで 真菌扱いとして保護し子犬特有の膿皮症(のうひしょう)の治療を始めました。耳の辺りが介せんの症状のようでもあったためその治療薬も飲ませました。このほか、順次ワクチン接種等も実施。そして子犬たちは、最初に見つけた人が雌2匹、メンバー夫婦が雄と雌2匹、雄1匹は行きつけのペットサロンさんで預かってもらっています」

現在子犬たちの里親さんを募集中です。5匹のうち、メンバー夫妻が預かっている雄の子犬の里親さんが決まったそうです。

   ◇  ◇

殺処分ワースト地域の徳島で、野犬の保護活動とは?

保護した子犬たちは全て野犬。少しでも野犬を減らしたく、保護をしているというまゆさんは活動についてこう説明します。

「今回はこの5匹含め、同時期に25匹の子犬を保護いたしました。1匹の母犬が最大で10匹生むこともあり 10匹一度に保護することはざらです。年間で50~60匹子犬の保護をしていますが、これが私の限界で保護する場所や預かる人もなく、野犬として育っていくのを見守ることしかできない犬はまだ山ほどいます」

そんな野犬の多さに保護をしても追いつかない状況とのこと。徳島県では令和4年度、907頭の犬猫が動物愛護管理センターや保健所に収容。収容された犬のうち、半数以上が野外で繁殖し生息していた「野犬」とのこと。人と生活することなく成犬となった野犬については、人への馴化(じゅんか)が難しく、たとえ慣れた人であっても飼育することは困難だとか。このため、やむを得ず犬の殺処分を行っているというのが実態だといいます。

「徳島県は常に殺処分ワースト地域です。野犬も非常にたくさんいますが、その徳島県でのワーストが私の活動している阿波市。殺処分のほとんどが阿波市の野犬であったり阿波市の犬です。迷子犬を探さない、飼い犬に避妊去勢をせず、田舎特有の外につないで飼う昭和スタイルが根強く残り、そのせいもあってなのか一向に野犬が減りません」

ボランティア「捕獲され殺処分になってしまわないよう…」

だからこそ、今は自分ができる範囲で野犬を減らす活動を地道に続けていくことが大切だと…。

「私が保護活動を始めたきっかけは、土管にいた1匹の子猫との出会いでした。初めは、保護活動とか何も知らなかったです。そこから保護するにあたりいろんなことを勉強し、クラウドファンディングをして土管の猫をレスキューしたのが始まり。もともと犬は生まれた時から家の中でいたので 家族と思って育ってきました。父親が犬好きなため、小さいころから犬がたくさんいる環境で過ごしてきました。周りに野犬が普通にいる環境でもあります。これは今も変わりません。

今住んでいる徳島県では野犬の成犬はほぼ殺処分となります。この阿波市は山も川もあり、野犬にはすみやすい環境であるため特に野犬が多い地域。大半の方が昔からそうしてきたように現在でも野犬と共存して暮らしていますが、一部農業の方などから畑を踏みあらすなどの理由で捕獲されてしまう命が非常に多いのも野犬が多い阿波市ならではだと思っています。

なので、私は子犬が野犬として育ち、いつか捕獲され殺処分になってしまわないよう妊婦犬を見かけては産後なるべく1カ月ごろに子犬を捕獲・保護し里親につなぐ活動を個人でしているんです。最初は1人で始めたことですが、今はボランティアメンバーさんや同じ徳島県でずっと最初から頑張っているハート徳島さんなど皆さまのご協力ありきで殺処分をなくすために頑張っています」

最後に野犬について、まゆさんはこう訴えます。

「捕獲する際は地べたをはうし、やぶに入ったりといつも危険と隣り合わせで、傷だらけになりますが…野犬は臆病なため、野犬に襲われたりしたことはありません。野犬=狂暴では全くありません。おとなしく臆病です」

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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