まるで要塞!今は無き大阪・軍艦アパートの姿が話題に トタン屋根の無断増築が並ぶ貴重な写真たち
まいどなニュース / 2024年12月30日 10時0分
今はなき「軍艦アパート」、大阪市宮下寺住宅の画像がSNSに投稿され話題になっている。
1930年(昭和5年)大阪市浪速区に完成したこのアパートは、鉄筋コンクリート構造で水洗便所など近代的な設備もあり、当時としては革新的な建物だった。家賃は月200円から300円程度だったという。
昭和初期のモダニズムを象徴する建物だったが、やがて住民が利便性と空間の確保のために無断で増築を繰り返し、中庭や屋上を物置小屋や家庭菜園に利用。まるで要塞のような建物へと変貌を遂げた。
撮影した写真家の小林哲朗さんに話を聞いた。
◇ ◇
――撮影されたのはいつですか?
小林:撮影は2006年です。取り壊しのための住民退去後と取り壊し前の間に撮影しています。
――写真家として軍艦アパートの魅力は?
小林:ここまで古く、今まで見たことがないビジュアルに衝撃を受けました。ネットで知り、こんな建物は二度と現れることはないと思い撮影しに行きました。アパート周辺は賑やかな電気街のでんでんタウンがあり、近代的なマンションも多くあります。異様な雰囲気を放つ軍艦アパートとのギャップにとても驚き、感動しました。解体され跡地は現在スーパーマーケットになっているのですが、貴重な建物を記録できて良かったです。
――鉄筋コンクリート造とのことですが、トタンの屋根や壁が目立ちます。
小林:出屋と言われる無断増築部分です。ランダムな作りで生物が増殖したような生々しさがありました。元々古い建物や無機質な工場地帯の構造が好きで撮影に回っている私にとっては、人々の生活で徐々に完成され密度を増した増築部分は非常に魅力的に感じました。
◇ ◇
SNSには「まるで九龍城」「日本とは思えない」「日本橋の電気街に行く際よく通った」「かつてはここも夢のニュータウンだったのか」「頑張って生きていた時代を表している」「管理できていたら歴史的遺産だったかも」などの反響が寄せられた。現在は解体されスーパー・ライフになっており実際に見ることはできないが、貴重な写真から当時の人々の力強い生活が感じられた。
なお、小林哲朗さんは写真集「軍艦アパートディスカバリー」をAmazon Kindle版にて発売中。画像に魅了された人はご覧いただきたい。
(まいどなニュース特約・ゆきほ)
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