保健所行き直前だった子猫のきょうだい 震える手で救った命 ツンデレ対応も「下僕になれて幸せ！」

2024年12月現在、5歳になったチャイちゃん（左）とルフナちゃん（右）（画像提供：チャイとルフナとお供さん）

「生後1カ月半くらいで我が家へ。脱走しようとケージをよじ登ってたガリガリ子猫たちが、むちむちの美女に……。下僕になれて、本当に幸せ！」

X（旧Twitter）ユーザー・チャイとルフナとお供さん（@chai_ruhuna）は、愛猫との出会いについて振り返るコメントを投稿。新たな家族となったのは、キジ白三毛の女の子「チャイ」ちゃんとサビ猫の女の子)「ルフナ」ちゃん、保護当時はともに生後推定1カ月半ほどでした。

2019年の8月末ころ、飼い主さんの友人は住んでいたアパートの階段から子猫の鳴き声がすることに気づきました。その居場所を探ると、階段の隙間に母猫が産み落としたと思われるチャイちゃんとルフナちゃんがいたのです。同じアパートの住人から、ごはんをもらって過ごしていることがわかりました。

飼い主さんは、友人の家へ遊びに行くたび、かわいらしいふたりをお迎えしたいという衝動に駆られましたが「この子たちには、この子たちが歩むべき猫生があるのだから安易に手を出すべきではないだろう」と思うとともに、それまで猫と暮らした経験がなかったためお世話をすることは難しいだろうとも考えたといいます。

ところが、しばらくして子猫たちが食べ残したごはんから腐敗臭がするなど問題となったため、アパートの大家さんはやむをえず、ふたりを保健所に連れて行くことに。それを知った飼い主さんは、「私がふたりを引き取ろう」と決心しました。

「ふたりと交流はしてきましたが、保護するにあたってはとても緊張し不安がありました。職場の作業着と2枚の軍手を着用、子猫用のおやつでふたりの気を引いて保護。そのあまりに小さくはかなげで危うい命と向き合ったとき、手が震え、動悸が激しくなったことを今も覚えています。そして、何よりかわいらしくてたまりませんでした」

こうして、チャイちゃんとルフナちゃんは、飼い主さんのもとへ迎えられたのです。

猫きょうだいとともに新たな生活をスタート

飼い主さんは、チャイちゃんとルフナちゃんをお迎え後、しばらく経ってから引っ越しをしました。ふたりと出会ったことで、それまで抱えていた悩みと決別し、飼い主さんもまた新たな人生のスタートを切ろうと思ったそうです。

「小さな命をあずかり、その責任は自分自身が負うと自覚したとき、目の前の視界がすっと晴れたように感じられたのです。新居が決まり、入居前に念入りに掃除をして、ふたりととともに引っ越しをしました。その日は、猫用のトイレと爪研ぎなど必要最低限のものしかなかったため、床上でそのまま眠ったのを覚えています。精神的にも肉体的にもとても大変でした」

一方、チャイちゃん、ルフナちゃんとともに過ごす日々は、飼い主さんの心を明るく照らしました。

「ふたりと過ごす何気ない日常のすべてに幸せを感じました。当初、チャイちゃんは私と距離をとるような仕草や行動が見られたのですが、ここ1年くらいで変化が。一緒にベッドで寝てくれるようになったのです。少しずつ、チャイちゃんが慕ってくれるようになっているのを感じてとてもうれしく思っています」

また、個性豊かなふたりのキャラクターもまた飼い主さんに大きな癒やしを与えています。

飼い主さんによると、チャイちゃんは愛情深くちょっぴりワガママなプリンセスのような存在なのだとか。

「ルフナに対してもマウントをとるなど、おそらく我が家の序列的にはトップに君臨しています。普段は塩対応な一方、私が帰宅すると迫力ある低音の声で鳴き、お迎えしてくれるところがとてもユニークです（笑）。抱っこは苦手ですが、私が見えるところで寝て、移動するとパッと起きてあとを付いてきます。とても愛おしくてたまりません」

そして、ルフナちゃんは、ちょっぴり気まぐれ。飼い主さんに対して「大好き！」「嫌い！」とそのときどきで異なる表情を見せてくれるそうです。

「急にすごい勢いで甘えてきます。膝上に乗ったり、私の体によじ登ったり……。少しかすれたような声で鳴くと私の気を引くことができると知っていて、甘えたいときはそのように悲しげな声で鳴いてアピールするようになりました。ところが、かまわれたくないときは存在感を消し去って、ベッドの下やキャットウォークの上など触れられにくいところでくつろいでいます」

チャイちゃんとルフナちゃん、それぞれに表現の方法は異なるようですが、飼い主さんへ自分なりに好意を示しているように感じられます。思わず、メロメロになってしまう飼い主さんの気持ちがとてもよくわかりますね。

今、飼い主さんが伝えたいこと

チャイちゃんとルフナちゃんは、5歳（取材時）になりました。

これまでともに暮らしてきた日々を振り返って、飼い主さんはふたりへの思いをこう語ってくれました。

「『私と出会ってくれて、私の人生を変えてくれてありがとう』と伝えたいです。ふたりが天寿をまっとうするときのことは考えたくありませんが、私と出会ったことや幸せな猫生だったと思ってもらえるように責任をもってお世話をさせていただきたいと思っています」

チャイちゃん、ルフナちゃんと飼い主さんは、良いパートナーシップを築いているようです。そして、これからもまた愛情を育みながら、幸せな日々を過ごすことでしょう。

（まいどなニュース特約・梨木 香奈）