母犬に頭を噛まれたフラットコーテッドレトリーバー 懸命の頑張りで後遺症が改善 「みんながあなたを応援しているよ」
まいどなニュース / 2025年1月21日 16時30分
フレットコーテッドレトリーバーのみゆごんは2023年12月生まれのメス犬です。見るからに美形に成長しそうな子犬でしたが、生まれて間もなく母犬から頭を噛まれてしまい大けがを負ってしまいました。
脳損傷による障がいを背負ったことで、健常なワンコ以上の苦労を伴うものとなってしまいました。
脳損傷の影響による特有行動
みゆごんの苦労に寄り添うことにしたのが、静岡県の保護団体、スリール。お世話には、通常の保護犬以上に大変な苦労を伴いますが、あえて引き受けてくれたのが団体提携の預かりボランティアのKさん。みゆごんに「一緒にがんばっていこうね」と声をかけました。
保護当初のみゆごんの脳の損傷による行動への影響は主に以下のものでした。
■1日に何度も起きる発作
てんかんのような発作を起こす。冷え込む朝晩や食事前の興奮時、転んでうまく起き上がれず焦ったときなどに起こす。一度起こすと、短い間に何度も繰り返す。
■平衡感覚が鈍い
これも脳の損傷に起因するもの。まっすぐ歩けない、その場でジッと立っていられない。まっすぐ歩こうとしても、どちらかに寄ってしまうため、結果的に「回る感じ」になる。また、排泄も止まってすることができず、特に力む必要があるうんちは転ぶことが多い。
■力の加減が苦手
力の加減が分からず、全力で噛みついてしまう。みゆごん自身は遊びのつもりでも、出血するレベル。他のワンコの中でも特に小型犬やシニア犬だとロックオンし、ずっと追い掛け回して噛みつこうとすることも。一度先住犬に怒られてからは、他の犬を噛もうとすることはかなり減ったものの、人間の足には遊びのつもりで本気噛みすることがある。
■視力が弱い
獣医師の診断によれば、みゆごんは弱視の様子で、前足で足元を探るようにして歩き続ける。小さなオモチャ、色がはっきりしないオモチャは見つけられない様子で、大きなボールで遊ぶことが多い。オモチャを持っている人の手もオモチャだと思い込んで本気噛みしてしまうことも。
発作や平衡感覚はまだあるものの、保護当初よりも随分と改善された
大変なハンデを持つみゆごんでしたが、Kさんの献身的なサポートとトレーニングによって、かなり改善されました。
発作はエサの時間の前などにたまに興奮しすぎて起こしてしまうことはある一方、筋肉がついたことで平衡感覚が少し良くなりました。多少フラつくことがありながらも、他のワンコと同じように歩いたり全力で走ったり跳ねたりすることもできるようになりました。
視力は成長に伴い改善され、今では無音のおもちゃの細い紐も追いかけられるようになりました。
苦手なワンコには「イヤだ」とはっきり意思表示するのも、みゆごんの頼もしいところ。もちろん、その際、かつてのようにガブガブ噛み付くわけではなく、距離を取って意思を示すなど、少しずつ「大人のワンコの対応」を身につけ成長していってくれました。
みゆごんが成長できたのは、多くの応援や寄付も大きな力に
ここまでの経緯は細やかに団体のブログでKさんが公表。同時に多くの人が応援するようになり、譲渡会にみゆごんが出た際には、多くの人たちが「がんばってね!」「応援しているよ!」と声をかけてくれました。
健常なワンコと違ってみゆごんのケアやサポートには相応の費用がかかるもの。これに対しても多くの寄付や支援物資が届きました。また、売り上げがみゆごんのケア費用に充てられる団体オリジナル商品も「みゆごんのためになるのなら」と多くの人が購入してくれました。団体関係者一同、心温まる支援に感謝しました。
多くの支援を受け、みゆごんはさらに成長。2024年9月からは平衡感覚と足の力を鍛えるため、プールトレーニングをスタート。ワンコ用の浮き輪をつけてのトレーニングで、繰り返すたびにみるみる上達。みゆごん自身もまた、多くの支援に応えようとしているように映りました。
1歳を超えたみゆごんはハンデを乗り越える努力を続けています。いつの日かそのがんばりが報われ、「ずっとの家族」と出会えることを強く願ってやみません。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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