焼肉未払い43450円→SNSで「お客様、お支払い忘れています」と呼びかけ 結末は…「人間捨てたもんじゃない」「平和な解決」

焼き肉の代金が支払われずに…その後は？　（青森の南大門のインスタグラムよりスクリーンショット）

「今日の17時にお越しいただいた6名のお客様へ。43450円のお支払いをせずにお帰りになられております！ 故意ではないと思いますしお客様が溢れて確認漏れしてしまった当店のミスです！ ですが飲食店にとって43450円は命のようなものでして、もし気づかれたら明日以降でもお戻り頂けると大変助かります…」

青森で人気焼肉屋『焼肉 南大門』を経営するキム・ソンガンさん（@gan_nandaimon　以下キムさん）が、SNSで呼びかけたのは1月18日夜。

「それは大問題」「お気の毒です」「戻ってくれることを祈ります」などのコメントが寄せられた投稿は、またたく間に拡散していきました。

そして、翌日。事態は新たな展開を迎えます。当時の状況についてキムさんに取材しました。

青森の人気焼肉店でトラブル発生

青森で29年間焼肉店を営む同店。行列は常時で、長い時は1時間半ほど待つことも。代金未払い問題が浮上した18日夜も、大勢のお客で賑わっていました。

キムさん自身は店を不在にしており、「大変なことが起こりました！」と夜9時頃にスタッフから電話。「なにごとか？と焦りました。店内で物損があった？放火などによる火災の発生？店内にいらっしゃるお客様が体調不良になった？そのようなことが頭をよぎりました」。

代金を支払っていないお客がいたことを聞き、「お金をいただいていないことは残念ですが、人命に関わることではなかったのでホッとしました」とキムさん。店内で和気あいあいと食事を楽しんでいたこと、接客時の印象がとても良かったこと、さらに接客を担当したスタッフから「故意に払っていないのではなく、払い忘れだと思います」と伝えられたため、「お客様を信じてXでポストいたしました」。

「お客様がお店を出てから時間が経っていましたし、青森市内を探し歩くのも現実的ではありません。また、悪意なくやってしまったお客様が、気づかぬうちに犯罪者になってしまうのも悲しいことです。SNSを見て代金未払いに気づいてくれたらいいな、とダメもとだったものの、こんなに拡散されて…。予想外でした」。

店が直面している状況をお客に届けたかっただけの投稿に、多くの人が心を寄せたことに感謝の思いでいっぱいだと話します。

全員がハッピーエンド

この投稿の翌日、キムさんのＸではうれしい知らせが報告されました。

「【速報】 昨日お会計を忘れてしまったお客様がなんとたった今ご来店いただき全額お支払い頂けました！ 「誰かが払ったと思い込んでしまってました。本当に申し訳ありません！」と大変紳士的にご対応いただきました。感激してます。皆様優しい言葉本当にありがとうございました！無事解決しました！」

あっという間の解決に、またもやSNSは大反響。「優しい店主とうっかり屋さんだけど良識あるお客さんで良かった」「みんなハッピーエンドで最高」「食い逃げと決めつけずに呼びかけたのが良かったですよね」などのコメントが。

また、「飲食店ですがたまにあります」「支払いを忘れたことがあります。夜思い出し、閉店2分前に急いで電話した」「PayPay残高が減ってないことに気づいて、1時間後急いで戻り事情を説明して無事支払いました」「誰にでもあり得ることなので気を付けなきゃいけない」と経験を語る声もありました。

キムさんによると、支払いにはグループ全員で来店。「本当に申し訳ない、と全員で足を運んでくださり、誠意を感じました。お支払いいただけたので、こちらから詳細を聞くことはありません。SNSを見て気づいたのかどうかなども不明です」。

今回は投稿が思わぬ反響を呼びましたが、「飲食店として、これまでもこれからも、やるべきことをあたりまえの対応をしていくだけ。お客様に喜んでいただくために、常に精進していきます」。

JR青森駅から徒歩約2分の場所にある同店は、熟練シェフ考案の名物極上厚切りタンや青森名物の生ホタテ、青森産にんにく焼きなどを提供。地元の人、観光客や出張で青森を訪れた人などさまざまな層から人気です。 

（まいどなニュース／Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子）