クレームゼロ 福祉の便利屋ビジネス、仕事を終えると女装キャラに 「福祉の世界を明るくしたい」

福祉の便利屋をテーマに講演する二重さん（京都市伏見区・深草総合庁舎）

　「福祉の便利屋」を掲げて活動する男性の講演会が、京都市伏見区であった。高齢者や障害者ら福祉ニーズのある人を対象に、ヘルパーなど既存制度では対応しにくいインフォーマルな案件を扱っているという。具体的にどんな仕事なのか、活動時に心がけていることは何なのだろうか。

　愛知県豊川市で、精神障害者支援事業所に18年間勤めた後、2019年に福祉の便利屋として独立起業した二重勝吉さん（41）。講演会は、困りごとを抱える人が地域で安心して過ごせる社会について考える目的で、京都市南部障害者地域自立支援協議会が開いた。

　二重さんは、福祉ニーズのある人向けの仕事として、終活の一環としての「生前整理」▽福祉施設入居や病院からの退院などに伴って自宅を片付ける「福祉整理」▽孤独死や不審死の現場もある「遺品整理」―を挙げた。

　具体的に、認知症や障害に伴って部屋を片付けられなくなり、カップ麺の容器や紙ごみが散乱した部屋を整理した事例を紹介。「福祉事業所の職員がボランティア的に対応することもあるが、そうすると本業以外で疲弊してしまう。出るごみも大量で、便利屋が特化して引き受けている」と説明した。

女装キャラクターで「明るく」

　二重さんは、愛知県豊川市で福祉の便利屋業を営む一方、地域ではゆるキャラの友達という設定の女装キャラクター「キャサリン♡」として活動する個性派だ。京都市伏見区であった講演の後も、「ショー」を披露する一幕があった。

　「キャサリン♡」誕生のきっかけは、精神障害者支援事業所に勤めていた時にレクリエーション担当だったこと。「とにかく福祉の世界を明るくしたかった」と振り返る。

　独立起業の際は、屋号を「福祉の便利屋キャサリン♡」に。ホームページやチラシにも女装した二重さんをアップで据えているが、「お客さんからは、不思議とクレームはありません」と笑う。

　京都市伏見区であった講演の後も、いったん退場して「キャサリン♡」に装いを変えて再び登場。聴衆にハイタッチして回りながらポップソングを3曲歌い上げた。真面目なテーマの講演で少し重苦しかった会場は、明るい雰囲気に包まれた。

（まいどなニュース／京都新聞）