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保護猫活動を支援するアーティストは12歳 「病死した愛猫を忘れないように」斬新なデザインの猫絵で注目 Tシャツやバッグが好評…個展も開催

まいどなニュース / 2025年2月2日 20時30分

布用のアクリル絵の具を使い、Tシャツに直接描く。完成後は保護用スプレーをかけて乾かす(契さん提供)

色彩感覚豊かで斬新なデザインの猫絵を描く大分県由布市在住の小学6年生・藤井天真(てんま)さん(12)の作品が注目を集めている。昨年(2024年)12月には父親の藤井契(ひさし)さん(50)が経営する地域課題解決提案型カフェ「TOAST coffee roaster」で初めての個展を開催。出展した20枚はほぼ完売し、収益の一部を保護猫団体に寄付した。「猫絵を描くことで、不幸な猫を助けたい」と天真さんは話す。

小学4年から支援学級に通っている天真さん。猫の絵を描くようになったのは小学3年のころ。家族で保護した野良の子猫「ちびちゃん」(メス、推定1歳弱で没)が亡くなったのがきっかけだったという。

「ちびちゃんは、近所の居酒屋さんの敷地内にどこからともなくやってきたサバ白の子猫でした。マスターが餌をやっていたんですが、翌日、その冬一番の寒波がやってくるというとき、私がマスターに『お外はかわいそうだから、うちで大事に育てるので保護していいですか』と申し出たら、『ぜひお願いします』と。それで家族に迎えた子でした」(契さん)

ところが、藤井家に来て1カ月も経たないうちに、赤血球が作れず貧血になる免疫異常の病気になった。「治療法はなく、点滴で延命治療をするしかなかった」(契さん)といい、約2カ月後に病死。悲しみに暮れる中、天真さんは「いつまでもちびちゃんを忘れないように」と猫の絵を描き始めた。

最初はノートの片隅やレシートの裏などに描いていたが、アトリエに通い始めると、先生が「色彩感覚やデザインが素晴らしい」と天真さんの才能を見出し、本格的にアーティスト「TENNEKO(てんねこ)」としてTシャツなどに猫絵を描くようになった。

これまでグループ展に4回出展し、売上の一部を保護猫団体に寄付。「ありがたいことに美術館や学芸員、デザイナーさんらが評価してくださり、作品を出すとすぐ売れてしまうようになりました」と契さん。Tシャツは現在までに170枚ほど制作。布用のアクリル絵の具でTシャツに直接描き、色落ちしないよう保護用のスプレーをかける。直感で描かれた猫絵はいずれも世界に1枚しかない1点ものだ。トートバッグやポストカードなども販売し、保護猫団体への寄付額はこれまで30万円以上に上るという。

元々は特別支援学校の教員だった契さん。「学校を卒業した後の長い人生を支える場所をつくりたい」との思いから、退職して2019年に同カフェを開業した。地域で保護猫活動を続けてきた奥さんと「にくきゅうプロジェクト」という団体を立ち上げ、保護猫活動も行いながら、地域課題を解決するためのさまざまな試みに挑戦している。

契さんが現在、力を入れているのが「Drip Artプロジェクト」だ。ドリップコーヒーの袋にアーティストの作品をプリントして販売する企画。作家は作品を提供し、福祉事業所が商品化作業を担当する。原価を除いた収益の一定額が作家や福祉作業所に支払われ、地域課題解決のためにも使われる。1月末からは、天真さんの作品を集めた「TENNEKOドリップバッグ」(8個セット)の販売が始まった。

「それぞれが誇りを持って働き、正当な賃金を得て自立できるしくみをつくりたい。ここを拠点に賛同してもらえる人たちの輪を広げ、就労支援や猫の問題をはじめ、高齢者の認知症、子どもの学びの多様化など他の様々な地域課題についても取り組んでいくつもりです。年齢や障がいの有無に関わらず、誰もが役割を持って活動に参加でき、その地域の人たち自らが地域の課題を解決していけるまちづくり。それが小さなコーヒー店の大きな思いです」と微笑む契さん。天真さんは「僕にできるのは猫の絵を描くこと。1匹でも多く不幸な猫を救いたい」と意気込んでいる。

域課題解決提案型カフェ「TOAST coffee roaster(トストコーヒーロースター)」
大分県由布市挾間町古野251-6

(まいどなニュース特約・西松 宏)

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