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脾臓が破裂し「余命1時間」と宣告…命をつないだ“奇跡の手術”と、決断した抗がん剤治療 猫では稀な「血管肉腫」との闘い、3カ月後の愛猫の姿は

まいどなニュース / 2025年2月5日 19時32分

生後4カ月の頃に出会った

「半年に一度、健康診断をしていましたが、病気を見つけられなかったことが悔しいし、悲しい。私自身も自分を責めてしまう時がありますが、愛猫が同じ病気になった飼い主の皆様は、どうかご自分を責めないでほしい」

そう話す、ちょろことネコ3匹さん(@chorokoSplatoon)の愛猫ゆずくんは、猫では珍しい「血管肉腫」という病気だ。病名が分かった時、飼い主さんは絶望的な気持ちになったが、できる治療法を模索し、愛猫の命を紡いだ。

“魂の半分”とも言えるほど大切な愛猫が急変

ゆずくんは、里親募集で出会った子だ。飼い主さんは複数の猫がいるケージを覗き込んだ時、駆け寄って来てくれたゆずくんに運命的なものを感じ、家族となった。

「人間にも猫にも優しい子。後に保護した2匹の猫も、ゆずが受け入れてくれたから、うちの子になれました」

目が合うだけで喉を鳴らしてくれ、話しかけた時にはたくさんお返事もしてくれるゆずくん。飼い主さんにとっては宝物であり、“魂の半分”とも言える存在だ。

だが、穏やかな日常は2024年10月、一変した。早朝、「ハアハア」というゆずくんの荒い呼吸音で目を覚ました飼い主さんは、すぐに救急病院へ。検査の結果、脾臓から出血があり、危険な状態であることが分かった。

このままだと1~2時間の命。手術をしても成功する可能性は低く、仮に成功しても1カ月ほどしか生きられないかもしれない。医師からそう告げられて悩んだが、飼い主さんはゆずくんの苦しみを少しでも軽減したいと思い、手術を決断した。

愛猫が「血管肉腫」であることが分かって…

手術では、輸血が必要。幸い同居猫の内1匹がゆずくんに輸血できる可能性が高かったため、すぐ病院へ連れて来てほしいと言われた。

同居猫は、旦那さんが連れてくることに。ゆずくんの命を考え、手術は同居猫の到着を待たずに行われることになり、飼い主さんは病院に残った。

「獣医さんから『手術中に亡くなる可能性が高い。ひとりで死なせるのは可哀想なので、奥さんは病院に残ってください』と言われ、深刻な状態に絶望しました」

手術は、奇跡的に成功。破裂していた脾臓を摘出することができた。ただ、同居猫が到着するまで自己輸血をしたため、医師からは「癌だった場合には全身に転移するリスクがある」と告げられた。

後日、摘出した脾臓を検査した結果、「血管肉腫」であると判明。血管肉腫とは、血管内側の細胞がガン化することで起きる。猫の血管肉腫は犬と比べると稀であり、予後も不明な部分が多い。

飼い主さんは病名を聞き、頭が真っ白に。なぜ、こんなに優しくて良い子がこんな目に遭わなければならないのか。どうして、もっと早く気づけなかったのかと自分を責めた。

ゆずくんの場合は肺に転移が見られたため、かかりつけ医に紹介してもらい、腫瘍科がある大きな動物病院を受診。そこでは、「強い抗がん剤での治療」「弱い抗がん剤で進行を緩やかにする治療」「何もせず見守る」という3つの治療法を提案された。

医師からは、強い抗がん剤を使っても治る見込みはなく、副作用が強くて苦しむ可能性があると言われたそう。

「弱い抗がん剤での治療は猫だと症例がなく、犬の場合は進行を緩やかにできても余命4~5カ月ぐらいと言われました」

これ以上、苦しませたくない。そう思った飼い主さんは副作用が出にくい、弱い抗がん剤での治療を選択。2週間おきに血液検査をしながら、治療を進めていった。

抗がん剤治療を開始して3カ月経った今は…?

難しい決断から3カ月経った今、ゆずくんは食欲もあり、走ったりジャンプしたりと猫らしい日々を謳歌している。2週間おきにしていた血液検査は4週間おきになり、ゆずくんと飼い主さんにかかる負担は減った。

ただ、新たにリンパ腫も発見されたため、血管肉腫と並行して治療を行っている。

健康管理のために自宅で気を付けているのは、ストレスをかけないこと。したいことを、思う存分させてあげている。

また、旦那さんと協力して長時間、家を空けないように配慮。やむを得ず家を空ける時はペットカメラや猫の行動を記録するスマート首輪「Catlog」を使用し、出先からもこめに様子を確認。急変にすぐ、気づけるようにしている。

「血管肉腫は症状が出て初めて気づくことが多く、早期発見が難しいと獣医師さんから教わりました。ゆずも、これが最短ルートだった、と」

そう話す飼い主さんは自身の経験から、愛猫の血液型を知っておくことの大切さも痛感した。なぜなら、ゆずくんの輸血時に同居猫の内1匹が珍しい血液型だと分かったからだ。

「もし輸血が必要な事態に陥った時、輸血してくれる猫が見つからないと、かなり困難な状況になることが予想されます。健康診断などの際、ついでに血液型も調べてもらってほしい」

猫の血管肉腫は症例の少なさゆえ、正解がわからない闘病生活となる。当事者の体験談が広まることで、治療に繋がる研究が進んでほしいと切に願う。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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