元ひきこもり:大学生と准教授が師弟ユニット結成

毎日新聞 / 2018年2月14日 14時47分

CDデビューする音楽ユニット「師弟TUNE」の柴山一幸准教授(左)と平田裕一さん=愛知県稲沢市の名古屋文理大学で2018年2月2日、長倉正知撮影

初のCDアルバム「卒業」全国発売へ

 中学生時代に引きこもり、インターネット動画でギターを独学した大学4年の男子学生と、指導する大学准教授が、ポップスの音楽ユニット「師弟TUNE(チューン)」を結成し、21日に初のCDアルバム「卒業」を全国発売する。今春巣立つ若者たちへのエールとなっている。

 学生は名古屋文理大学(愛知県稲沢市)の平田裕一さん(23)。同大で作曲などを教えるシンガー・ソングライターの柴山一幸准教授(48)と1年前に組み、それぞれが「デシベル」「准教授」を名乗る。

 平田さんは岐阜県飛騨市の出身で、中学1年の5月から「人間関係などが嫌」で、不登校になった。パソコンの音楽映像などを自宅で見る日々。洋楽を訳し、見よう見まねでギターを弾き、楽しんだ。

 米ロックバンド「ザ・ストロークス」の曲「You Only Live Once」との出会いが転機になった。曲名は「人生一度きり」という意で、歌詞から「やり方は何通りもあるけれど、みんなやってみろよ」と励まされた。自分は、これまで何もやろうとしてこなかったのではないか。

 通信制高校に入り、時に登校もし、4年で卒業した。社会で必要だと感じたコンピューターを学ぼうと大学へ進んだ。

 2年時に、柴山さんのライブへ先輩に誘われた。柴山さんは、20代からバンド活動に明け暮れ、30歳でデビューしたが売れなかった。今は教職と二足のわらじを履いている。

 平田さんは3年生になり、念願だった准教授の「コンピューターミュージック」の授業を受けた。CDに入れたオリジナル曲を渡し、助言を求めた。

 柴山さんは「1960~70年代のロックがベース」という音楽性が自身と似ていることに気づいた。曲についてやりとりしているうちに、自分にはない「時代のセンス」も感じた。ギターは、驚くほどの腕前だった。柴山さんが口ずさんだ旋律を平田さんが編曲するなど、一緒に曲作りするようになった。昨年春、ユニットができた。

 平田さんはライブ活動に「不安もあった」という。ここでもストロークスのあの曲に後押しされ、東京などで4回出演した。

 柴山さんは、できた曲を「多くの人に聴いてもらいたい」と、オリジナル12曲を収めたCDを制作した。教室で接した生徒たちの様子などを詞にし、ボーカルも担当。平田さんがギターだ。

 「卒業」という曲がある。<夢を見ることも大事だけれどその暮らしを大切に守れよ><必ずチャンスはやってくるそのために足を止めないでおこう>と歌う。柴山さんは「夢と現実、希望と挫折は、互いに矛盾するが、両方ないと生きてはいけない」という。

 平田さんはエンターテインメント系企業に営業マンとして入る。「働きながら、これからも音楽家という夢を追いかける」と語る。

 自主レーベル「NICO MUSIC」から発売。問い合わせは柴山さん(080・5493・9653)。【長倉正知】

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