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第6波に備える大阪府の戦略は 早期治療で「医療逼迫」防げ

毎日新聞 / 2021年11月25日 21時4分

大阪コロナ大規模医療・療養センターの実地訓練で、患者の体調が急変した場合の手順を確認するスタッフ=大阪市住之江区のインテックス大阪で2021年11月5日午後2時35分、加古信志撮影

 冬休みや帰省など人の動きが盛んになる年末年始を控え、大阪府が新型コロナウイルスの感染拡大に警戒を強めている。今夏の第5波に比べて病床を600床あまり増やすほか、早期治療の体制を整え、医療逼迫(ひっぱく)を防ぐ対策を講じる。25日には対策本部会議を開き、30日まで府内の飲食店に要請している「同一テーブル4人以内」の制限を12月31日まで延長することを決めた。対策強化で、危惧される「第6波」を乗り切れるのか。

 この日の対策本部会議では、政府方針に沿って、イベントの人数制限の撤廃も決めた。主催者が感染防止策を定めた計画を開催の約2週間前までに提出することを条件に100%の収容を認めた。

府試算「新規感染者最大約3800人」の可能性

 府の独自基準「大阪モデル」については、病床の逼迫度を重視する運用に改めた。ワクチン接種が進み、感染しても軽症で済む患者が増えたため、医療を維持しながら日常の回復を目指す。

 コロナの感染状況は小康状態が続いており、1日当たりの新規感染者数は12日連続で30人を下回っている。しかし、海外ではワクチン接種が進んだドイツや韓国などで急速な感染拡大に直面しており、予断を許さない。

 府の試算では、第6波で、第5波の1・1倍のペースで感染者が増え続けた場合、1日あたりの新規感染者は最大約3800人に達する。ピーク時の入院患者は約3300人、宿泊療養者も約7100人に上る。

 昨冬は年末年始に感染が広がり、年明けの1月14日には府内に緊急事態宣言が発令された。吉村洋文知事も「想定を超える感染拡大が起きる前提で対応すべきだ」と強調する。

 第5波では「早期介入・早期治療」の対応が功を奏した。症状が軽くても速やかに病院や宿泊療養施設に入院・入所してもらうことで、患者の早期回復につながり、病床への負担も軽減された。軽症中等症患者の平均入院期間は第4波で12・9日だったが、第5波は9・5日に短縮され、第4波でみられた「医療崩壊」は免れた。

630床増床、医療法人への運営委託で強化

 手応えをつかんだ府は、第6波に備え、さらに病床確保を進める。病床確保計画を19日に改定し、重症病床は610床、軽症中等症病床は3100床を目指す。第5波当初の計画よりもそれぞれ30床、600床積み増した。宿泊療養施設は1万室を目標に据えた。

 「受け皿」強化に加え、病床使用の効率化も進める。府が開設する32カ所の宿泊療養施設のうち、「東横イン新大阪駅東口」(大阪市東淀川区)を15日から医療法人「北大阪ほうせんか病院」(大阪府茨木市)に運営委託した。病院が運営することで、容体急変患者への迅速な対応と、効率的な病床・施設利用につながると期待される。吉村知事は「宿泊療養者の中でもリスクが高い人を優先的に対象にしたい」と語った。

 病床と宿泊療養施設を補完するセーフティーネットとして、10月末に大阪市住之江区に臨時施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」を完成させた。無症状・軽症者用800床、中等症者用200床を備え、宿泊療養施設の使用率が50%、軽症中等症病床は70%に達した際に患者受け入れの準備を始める。

 府の試算では、体制の強化を講じても第6波では、全ての感染者を医療機関や宿泊療養施設に収容できず、2万9300人が自宅療養となる見込みだ。このため、自宅療養者向けに約300の医療機関で、1日最大約700人が抗体カクテル療法を受けられるようにするなど体制強化を急いでいる。

 吉村知事は会議終了後、記者団に「ワクチン接種が進んでいる海外(での感染拡大)は対岸の火事ではない。感染対策を徹底しつつ、社会経済活動を回すことが大切だ」と述べた。【鶴見泰寿、田畠広景、矢追健介】

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