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警視庁公安部の聴取報告書、前日作成か 大川原化工機「冤罪」事件

毎日新聞 / 2024年6月19日 6時0分

警視庁公安部が経済産業省に提出した報告書。聴取したY社の社員に対し「令和元(2019)年7月5日」、大川原化工機の噴霧乾燥器のカタログと見取り図の写しを示したと記されている=24年6月12日、遠藤浩二撮影

 化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件を巡り、警視庁公安部の捜査員が同業他社に事情を聴いた聴取報告書の内容が、聴取前日に作成された記録があることが判明した。捜査関係者が明らかにした。当日に聴取が行われたのか、疑義が生じる可能性がある。

 報告書は、大川原化工機が製造した噴霧乾燥器について、その性能を同業他社の社員に聴取したもの。噴霧乾燥器のカタログを示したうえで、装置内部で最も温度が低くなる場所を聞き取った内容が記されている。

 聴取は2019年7月5日に行われ、報告書は同26日に経済産業省に提出された。経産省は翌月9日、「(この報告書など)添付資料の内容を前提とすれば」と前置きしたうえで、大川原化工機の製品が輸出規制品にあたると公安部に回答した。公安部はその後、大川原正明社長(75)ら3人を不正輸出の疑いで逮捕した。

 捜査関係者によると、経産省に提出された報告書と聴取結果が一言一句同じ報告書が、聴取前日に作成されたという。パソコンで作成されたとみられる、この報告書の電子データのプロパティー(文書情報)を撮影した画像を毎日新聞は入手した。

 それによると、文書名は「20190705聴取結果報告書」とあり、更新日は19年7月4日午後5時7分となっている。更新日は、最後に文書を保存した時刻を示しているとされ、この情報が正しければ、聴取前日に報告書が実質的に完成したことになる。

 ある捜査関係者によると、報告書の提出前、経産省から公安部に問い合わせがあったといい、この関係者は「それに対応するため、慌てて作った報告書だ」と語った。

 捜査を指揮した公安部外事1課5係の係長(警部)は23年6月、東京地裁の証人尋問で、報告書作成前から同業他社には何度も聴取に行っていたと述べ、19年7月5日は「最終確認で行ったと記憶している」と説明している。

 警視庁は取材に「外事1課員は19年7月5日、会社を訪問し、事情聴取をしている。一般論として、(それまでに)聴取した内容を下書きし、改めて聴取して内容を再確認したうえで、変更がなければそのまま捜査書類を作成することはあり得る」と回答した。【遠藤浩二】

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