福島・浪江に東京の老舗フレンチ 地元生産者の意欲を「伝えたい」
毎日新聞 / 2024年6月15日 15時44分
福島県浪江町に本格的なフランス料理店「ジョワイストロナミエ」(同町権現堂)が18日にオープンする。営むのは東京で半世紀の歴史を持つ「ビストロ・ダルブル」(渋谷区恵比寿南1)のオーナー、中西大輔さん(49)とシェフの無藤(むとう)哲弥さん(50)。「ここから地元の魅力のある食材を世界に発信しながら、若い人材を育てて被災地をもり立てたい」と意気込む。
同店は1974年創業。2人は以前から全国各地の食材を求めて生産者を訪ね歩いていた。東日本大震災以降は東北に力を入れ、特に三陸のホヤを活用し、殻を使ったビスクなどホヤづくしのフルコースは評判を集めた。新型コロナウイルス下では、東北の食の復興に取り組む一般社団法人「東の食の会」(東京)とともに「おうち鍋セット」を商品開発、ネット通販した。
浪江町は2021年に初めて訪れたが、全町避難から17年に避難指示が解除されたばかりのJR駅に降り立つと、更地が広がり人影はなく「こんな景色が現実にあるのかとショックを受けた」(無藤さん)という。その中で、移住者も加わって意欲的に取り組む生産者らが質の高い食材を生み出していることを知り「このパワーやわくわく感を伝えたい」と突き動かされた。
町の中心地でラーメン店だった空き店舗をリノベーションし、店名はフランス語で「楽しい」の意味の「ジョワイユ」と「ビストロ」を合わせて名付けた。地元食材の料理を味わう楽しさを、東京・恵比寿との2拠点による相乗効果で発信することを目指す。コワーキングスペースとしても活用して「店をハブに人が集まり、浪江でもビジネスが成立するというモデルを作りたい」と意気込む。
6月6日にはお披露目のパーティーが同店であり、親交のある生産者らが集まって本格的なフランス料理に舌鼓を打った。浪江で相馬野馬追(のまおい)の馬の堆肥(たいひ)を活用してニンニクを栽培している吉田さやかさん(37)は「被災地が震災からここまで力強く進んでこられたのは食の力があってこそ。それをお皿の上で表現する機会が地元で増えたのはすごくうれしい」。鮫川村でジャージー牛を育てる清水奈々さん(36)は「無藤シェフは食材を大事に扱ってくれる。地域をつないでくれる場所がこの浪江にできて、希望を感じます」と笑顔だった。
問い合わせは同店(0240・23・5773)へ。【錦織祐一】
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「PEACEFUL TABLE 2024 for 能登 by 北陸チャリティーレストラン」で石川県のシェフらとともに食を通して被災地を支援!
PR TIMES / 2024年6月19日 18時45分
-
【愛ふぁーむプロジェクト】東海の名店シェフを率いて、石川県珠洲市の避難所で炊き出しを実施。ハンバーガーや海鮮丼など14種類、約750食を被災者に提供。6月2日、ASMEDIA株式会社のサポートにて開催
PR TIMES / 2024年6月13日 17時45分
-
青い海と白い砂浜の絶景!淡路島の南にオープンする一軒家レストラン「TRATTORIA amarancia」
IGNITE / 2024年6月12日 22時30分
-
福島県田村市を知る、食交流イベント タムラナイト
PR TIMES / 2024年6月10日 13時15分
-
山梨県西湖に「Restaurant SAI 燊」オープン。富士北麓の豊かな自然を味わうガストロノミーレストラン
IGNITE / 2024年5月29日 0時0分
ランキング
-
1《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は
NEWSポストセブン / 2024年6月21日 20時45分
-
2候補者と無関係のポスター、有料サイトに誘導のQRコード…東京都知事選挙で苦情殺到
読売新聞 / 2024年6月21日 23時21分
-
3「認められうれしい」 法的に親となった女性、最高裁判決を歓迎
毎日新聞 / 2024年6月21日 21時0分
-
4はさみで同級生の背中刺した高校生を殺人未遂容疑で逮捕…埼玉県警
読売新聞 / 2024年6月21日 22時36分
-
5じつは「氷河期問題」も「非正規問題」も存在しない…雇用ジャーナリストが蓮舫氏の公約が的外れと断言するワケ
プレジデントオンライン / 2024年6月22日 10時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください