患者3人連続死 旧大口病院の元看護師、2審も無期懲役 東京高裁
毎日新聞 / 2024年6月19日 14時2分
横浜市の旧大口病院で2016年9月、入院患者3人の点滴に消毒液を混入して中毒死させたとして、殺人などの罪に問われた元看護師、久保木愛弓被告(37)の控訴審判決で、東京高裁は19日、無期懲役とした裁判員裁判の1審・横浜地裁判決(21年11月)を支持し、検察側と弁護側双方の控訴を棄却した。
三浦透裁判長は「死刑の選択にはちゅうちょを感じざるを得ず、更生の道を歩ませるのが相当とした1審の量刑判断が不合理とは言えない」と述べた。
1審で検察側は死刑を求刑した。地裁は「看護師としての知見と立場を利用した。刑事責任は誠に重大」としつつ、適性のない看護師の仕事を続けてストレスをため込んだ被告が、不安軽減のため患者を消し去るとの発想に至った動機の過程を「酌むべき事情」と認定。被告は事件の重大性を痛感しており、更生の可能性もあるとして、無期懲役を言い渡した。
控訴審で検察側は、事件は「無差別・連続殺人」で、過去の裁判例を踏まえれば、死刑を回避する理由はないと主張。無期懲役の量刑判断が妥当かが争点となった。
高裁は判決で、被告が看護の仕事で感じた不安や恐怖は身体が不調になるほど大きく、被告の努力ではいかんともしがたい事情が動機に影響していたと認めた。確定的な殺意があり、残虐ではあるものの、恨みや不満から他人の命を積極的に奪うような犯行とは異なる面があるとした。
その上で、裁判員裁判による慎重な評議によって、死刑を選択することが真にやむを得ないと認められなければ、死刑を科すことは許されないと指摘。1審判決が認定した、被告の動機の過程や更生可能性の認定に誤りはなく、無期懲役の量刑判断は不合理ではないと結論づけた。
高裁判決によると、被告は16年9月、点滴に界面活性剤を含む消毒液「ヂアミトール」を混入して70~80代の入院患者3人を殺害したほか、別の患者に投与予定だった点滴5袋にも殺害目的で消毒液を入れた。【井口慎太郎】
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