「認められうれしい」 法的に親となった女性、最高裁判決を歓迎
毎日新聞 / 2024年6月21日 21時0分
婚姻関係にないカップルの子は、自分の精子で女性を妊娠させた人が法的に男性であっても女性であっても認知を求めることができる――。最高裁が21日に示した初判断は「子の利益」を重視して、既存の法制度が想定していない親子関係を認めた。判決に対する評価の声が聞かれる一方、多様化する家族の実態に合わせた法制度の見直しが必要との指摘も出ている。
「法的な関係が認められてうれしい。今の時代にアップデートされた判決だ」。次女との父子関係が認められた40代女性は判決後、談話を発表した。
日本では2003年に性同一性障害特例法が制定され、自身の性別に違和感を持つ性的少数者の性別変更が可能になった。ただ、子の立場をどう考えるかで議論があり、家族秩序の混乱を避けるためとして、未成年の子がいない「子なし要件」が設けられている。
今回の訴訟は、男性から性別変更した女性と、血のつながりがある未成年の子との父子関係が認められるかが争点だった。最高裁が是認すれば、子なし要件と食い違うことにならないか、とする見方があった。
第2小法廷の尾島明裁判長は補足意見で、特例法制定時から今回のように生殖補助医療により子をもうけて認知が問題となる事態が想定されていたが、法整備がされてこなかったと指摘。「女性の父」の存在によって家族秩序の混乱が起こるかどうかも、具体的とは言いがたいと述べた。
子なし要件に疑義を投げかけたと受け取ることもでき、判決後に記者会見した次女の代理人の仲岡しゅん弁護士は「シンプルで常識的な判決。子なし要件は要らない」と評価した。子を持ちたい女性カップルらの相談を受けている一般社団法人「こどまっぷ」の長村さと子代表理事も「多様な家族が社会には存在しており、関連する法制度を現実に合わせてほしい」と望んだ。
金沢大学の稲葉実香教授(憲法)は「現在の家族法は男女が夫婦となって自然生殖で子を産み育てることが前提で、『父が男性であること』が当然とされてきた。最高裁は子の福祉や利益を優先して、父についての解釈を柔軟にしており、妥当な判断だ」としつつ、「生殖補助医療が発展し、性のあり方が多様化する中で、法と現実の間に矛盾が生じている。法制度全体の再構築が必要だ」とみる。【木島諒子、菅野蘭】
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
性別変更の女性を「父」認定 多様化する親子関係に対応し得る法整備必要 上智大・羽生香織教授
産経ニュース / 2024年6月21日 21時29分
-
女性同士の子にも「父子関係」 最高裁判決、ポイントは子の利益
毎日新聞 / 2024年6月21日 20時43分
-
具体的混乱、想定し難く=「女性で父親」巡り補足意見―認知訴訟判決で尾島裁判長
時事通信 / 2024年6月21日 19時36分
-
性別変更後の女性、父と認定=認知否定「子の利益に反する」―二審判決破棄、初判断・最高裁
時事通信 / 2024年6月21日 17時29分
-
女性へ性別変更後に子が出生、最高裁が法的な親子関係認める…東京高裁判決を破棄
読売新聞 / 2024年6月21日 15時50分
ランキング
-
1旭川の中2いじめ凍死、ネットに黒塗りされていない資料を掲載…市の要請で市民団体が削除
読売新聞 / 2024年6月26日 23時20分
-
2ANA機で気圧が異常低下、乗客乗員11人が耳の痛みや倦怠感…警報作動し緊急事態を宣言
読売新聞 / 2024年6月26日 20時41分
-
3美術家・三島喜美代さん死去 91歳 「ゴミ」モチーフの作品多数
毎日新聞 / 2024年6月27日 0時0分
-
4「肉は監査の時だけ」…食材費過大徴収で連座制適用の「恵」職員が明かす
読売新聞 / 2024年6月26日 23時55分
-
5例年より早い流行『手足口病』あれこれ情報まとめ 子どもだけじゃない...親が重症化することも「その見分け方は?」質問に専門家からは意外な答え
MBSニュース / 2024年6月26日 12時51分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)