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発達障害やグレーゾーンの子と向き合うには 経験者、専門家に聞く

毎日新聞 / 2024年6月25日 8時0分

子育てサロン「Hugママ」で交流する参加者ら=東京都江戸川区で2024年5月30日午前11時40分、山崎明子撮影

 春の入園・入学シーズンから間もなく3カ月となるが、「通園・通学先で我が子はうまくやっているのか……」と不安を募らせている人もいるだろう。最近では「発達障害」や「グレーゾーン」といった言葉もよく耳にする。心当たりがある親はどうすればいいのか、経験者や専門家に聞いた。

 発達障害は、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などに分類される。生まれつき脳に機能不全があり、ある分野の能力は順調に伸びているが、別のある分野は極端に苦手とするなど得意・不得意の差が激しく、こうした特性が「発達凸凹」と表現されることがある。苦手なこととして、人とのコミュニケーションや集中力の持続などがあり、日常生活に困難を抱える人は少なくない。

 国際的な基準に基づく医師の問診や行動観察、検査を経て診断が確定するのだが、発達障害の傾向がありながら基準を満たさないケースもある。そうした人たちがグレーゾーンと呼ばれている。

まずは子供が何に困っているか

 発達障害やグレーゾーンの子供を持つ全国の保護者らを対象とした学びと交流の場「発達凸凹アカデミー」を主宰する伊藤真穂さん(49)の次男は、5歳でASDに含まれる自閉症と診断された。発語の遅れなどがあり、当初は発達支援のアドバイザーやクリニックなどを必死に回ったが、すぐには効果が表れず苦しんだ。

 だが、療育施設の元指導員で実際に発達障害の子供を育てる知人と出会い、「まずは子供が何に困っているのかを理解するなど、自分でもできる方法がある」ことを知った。それからは「さんかく」が「……く」としか言えなくても、「く、が言えたね」と、小さな「できた」を認めていくことができるようになった。

 いつまでも泣き続ける、わがままがひどい、朝の身支度に時間がかかる、友達やきょうだいをたたく、学校や園に行きたがらない……。子供の特性はそれぞれだが、発達凸凹アカデミーでは診断の有無や、ASD、ADHDといった診断の別を問わずに悩める親たちを受け止めている。

 親は我が子の「できないところ」に目を向け、できるように仕向けようとしがちだ。しかし、「できたことを認めてもらう」「好きなことをやり抜く」ことを積み重ねて自信をつけ、苦手を克服していく子供たちは多い。伊藤さんは「子育ての方法は一人一人違う。まずは自分の子供を観察することが大切です」と語る。

 5月には、アカデミーで出会った2人がインストラクターを務める子育てサロン「Hugママ」が東京都内で開かれ、ママたちが本音を語り合った。グレーゾーンの長女を育てる先輩ママで、インストラクターでもある井上法子さん(50)はアカデミーに参加したことで「具体的な支援策を学び、試行錯誤を繰り返すことで子供も変わっていきました」と振り返る。

支援のために診断、情報共有を

 小児精神・神経科医で横須賀市療育相談センター(神奈川県)所長の広瀬宏之さんによると、発達に凸凹がある子供は「できないこと」が多く、困難を抱えていることも見えにくいため、「努力が足りない」「わがままだ」などと評価されがちだ。そのため、医師の診断があったほうが支援を受けやすく、誤解も招かないという。

 広瀬さんは「様子見を続けているうちに不登校になっていたというのは避けたい。診断名は支援のための手がかりなのでうまく利用してほしいですね。グレーゾーンであっても支援が必要。幼稚園や学校の先生などと情報共有したほうが効果的です」と指摘する。【山崎明子】

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