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「面白いを優先」 札幌の有志団体、触れる標本づくりで好奇心刺激

毎日新聞 / 2024年6月26日 12時45分

精巧につくられた骨のレプリカのかぶり物をつけて話をする「えぞホネ団Sapporo」の渡邉洋子副団長(右・エゾシカ)と工藤智美団長(左・カラス)=札幌市北区で2024年6月13日、貝塚太一撮影

 札幌を中心に幅広く活動している「えぞホネ団Sapporo」。名前を聞けば、ロックバンドを想像してしまいそうだが、実は、標本づくりをする有志団体だ。「さわれる、あそべる、かんじる標本」が活動のコンセプトで、“ホネ”との触れ合いを通じて、生命のつながりや多種多様な生物への興味、関心を広げてもらおうと魅力の発信を続ける。

 団が発足したのは2013年12月。当初は、札幌市博物館活動センターの標本制作ボランティアだった。15年に東京で開催されたイベントでエンタメ部門の最優秀賞を受賞し、その名を「業界」にとどろかせる。

 16年3月の市博物館活動センターの移転休業にともない、センター所属の各ボランティア団体が解散した。標本制作ボランティアは、拠点を持たない有志団体「えぞホネ団Sapporo」に生まれ変わった。

 団の設立者でもある工藤智美団長(50)は「私たちは『面白い』を優先する。『触れる標本』はアカデミック的にタブーかもね」と笑う。本業は、北海道大学総合博物館の技術スタッフだ。団員はほかに17人。特殊造形にたずさわる人、高校の生物教諭、ハンター、飲み屋を営む夫婦……などと幅広い。

 メンバーのうち10人が女性で、子育て中の人もいる。ベトナム語通訳の渡邉洋子副団長(46)は「『子どもを楽しませ、学びの感動も伝えたい』が私たちのベース」と話す。

 団として独立後、エンタメ性や独自性が一気に開花した。骨格標本をもとにレプリカのかぶり物をつくり、イベントの参加者がかぶって写真を撮れる機会を提供し、オリジナルグッズの作成、販売も始めた。標本は、ガラス越しに眺めることが多い。実際に手に取ってもらうことで、子どもたちの好奇心や探究心を刺激するのが狙いだ。

 「この世は人間だけじゃない。いろんなものがつながり、私たちは生きている。道に落ちている鳥の羽一つでも、それを感じるきっかけになる。形に残っていれば、見た人が何かを感じ、気付きが生まれるかもしれない」と工藤団長は標本の持つ力を語る。最大限に生かすため、「触って、遊んで、楽しみながら、体感してほしい」。【写真・文 貝塚太一】

 <メモ> 7月12日(金)、13日(土)に札幌文化芸術交流センターSCARTSで、団が主催する「ホネ茶論(さろん)2024」がある。入場無料で標本と触れ合え、有料でライオンやヒグマの骨を全身パズルのようにならべる「ホネならべ」などにも参加できる。講演やグッズ販売もあり、名物のレプリカ標本のかぶり物体験撮影コーナーも設けられる。

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