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「事件はいまも生きている」 地下鉄サリン事件の被害者、松本で献花

毎日新聞 / 2024年6月26日 15時4分

松本サリン事件の現場付近で献花するさかはらあつしさん(左)=長野県松本市で2024年6月25日午後2時30分、鈴木英世撮影

 オウム真理教による地下鉄サリン事件の被害者で映画監督のさかはらあつし(本名・阪原淳)さん(57)=京都府長岡京市=が25日、松本サリン事件から30年になるのに合わせて、長野県松本市の事件現場付近で献花した。さかはらさんは「私は生きさせてもらった。その分、頑張ります」と被害者に誓った。

 東京都内の広告代理店に勤務していたさかはらさんは1995年3月20日、通勤途中にサリンがまかれた地下鉄の車両に乗っていて被害にあった。

 事件後、「やりたかったことをやらなくては」と退職し、映画製作の道へ。オウム真理教の後継団体「アレフ」の幹部と事件について対談したドキュメンタリー映画「AGANAI(あがない)」を製作し、2021年に公開した。

 献花を前に松本市内で記者会見したさかはらさんは、サリン被害の後遺症は、時間がたった後に症状が出る「遅発性」のものがあると指摘し、「被害者にとって事件は風化どころではなく、現実の中で生きている」と訴えた。

 さかはらさんも手足のしびれがあったり、疲れやすかったりする。献花のために松本市内で花を買った際には、被害にあって今も調子が悪いと言っている人がいると聞いたという。

 さかはらさんは現在、大学の非常勤講師をしているが、働き先を探す時も後遺症の問題などで苦労した。自身は以前、サリン事件の被害者と分かったため生命保険に加入できないことがあったという。そういった現状から「被害者だと自分から言う人はほとんどいない」と説明する。

 08年にオウム被害者救済法が施行され、教団が起こした一連の事件の被害者救済を目的に、遺族らに政府から10万~3000万円の給付金が支給された。だが被害者への救済が行き届いているかについては疑問を感じる。

 「事件当時は遅発性の後遺症などの知見がなかった。30年を機に、広く被害者救済のあり方が妥当だったのか、政府に検証してもらいたい」と求めた。【鈴木英世】

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