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殺処分、餓死、共食い…人が生む猫の不幸 救う活動家からの"お願い"

毎日新聞 / 2024年6月30日 8時0分

サルヴァトーレには常時50匹を超える猫が保護されている=滋賀県草津市西草津2のサルヴァトーレで2024年6月13日午後6時6分、礒野健一撮影

 野良猫を捕まえ(Trap)、不妊手術を施し(Neuter)、元の場所に戻す(Return)「TNR活動」を続ける一般社団法人「サルヴァトーレ」(滋賀県草津市西草津2)代表の山本歩さん(51)が、クラウドファンディング(CF)で不妊・去勢手術費を募っている。「殺処分をゼロにするためには、不幸な命を生ませないことが第一。無責任な餌やりより、手術への協力を」と呼びかけている。【礒野健一】

「TNR活動」とは

 山本さんがTNR活動を始めたのは2018年。経営する美容室を兼ねた自宅で2匹飼っていた猫を増やそうと保護猫の里親募集サイトを見たのがきっかけだった。殺処分される猫の多さに驚き、活動について学んだ。「人の都合で殺されていく不幸な猫を少しでも救いたい」。初めは近所で子猫を保護して里親を探していたが、SNS(ネット交流サービス)で活動が広まると、山本さんへの相談や猫の持ち込みが増えていった。

 しかし、活動を続けても保護する猫の数は一向に減らなかった。不妊手術せず捨てられ殺処分される猫。多頭飼育の高齢者が亡くなり、不衛生な状況で餓死したり共食いしたりしていた猫。「(野良猫が生まれるという)蛇口を閉めなければ、不幸の連鎖は止まらない」と、イタリア語で「救い主」を意味するサルヴァトーレを設立した。

758万円集まり病院設立 次の一手は

 手術費は動物愛護団体からの助成や私費でまかない、安価で施術をしてもらえる大阪府池田市の動物病院に、毎月20~30匹を連れて行った。施術を終えた猫の多くは元いた場所に戻され、地域猫として新たな生き方を与えられた。

 だが、基本的に一人で活動していた山本さんの負担は大きかった。せめて滋賀で安価に手術をしてくれる動物病院があればと、23年1月に野良猫専門の不妊手術病院設立を目指してCFを募った。約1カ月で約758万円が集まり、同年5月に自宅の美容室を改装し、知人の獣医師の協力を得て「さくらスペイクリニック」を開院。費用はオスが4400円、メスが7150円と、一般的な動物病院の半額以下で、今年5月末までに433匹を施術した。

 山本さんは「開院後は迅速に対応できるようになったが、保護する猫の数は減っていない。傷病猫は施術後も自宅で保護し、その医療費の捻出も大変な状況」と説明する。野良猫の通報や保護をした人に施術費を賄ってほしいが理解は進んでおらず、山本さんが自費負担することも多い。そこで今年5月から施術費として、再びCFを募ることにした。目標額は500万円。1年分(約600匹)の施術費がまかなえるという。

野良猫に餌「不幸な命を生む原因」

 県動物保護管理センターによると、22年度に県や市町が捕獲もしくは引き取った猫は337匹。うち返還は2匹、譲渡は132匹で、残り203匹は殺処分された。期間は違うが1年間で比較すると、同センターが対応した猫の数はさくらスペイクリニックで施術した数より少ない。殺処分を避けたくて同センターへの連絡をためらう側面もあるようだ。山本さんは「滋賀の猫の殺処分をゼロにしたい。不妊手術をしていない野良猫に餌を与えることは、不幸な命を生む原因なので絶対にやめてほしい」と訴える。

 今は草津市とも連携し、TNR活動の周知に力を注いでいる。「いずれ県全域に活動を広めていきたい。そのためにも支援をお願いします」と力を込める。寄付はCFサイト「レディーフォー」で7月26日まで受け付けている。問い合わせはサルヴァトーレ(077・566・5104)。

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