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皇后さまが英国王妃に贈った「佐賀錦」 国際交流の場での登場多く

毎日新聞 / 2024年6月28日 9時0分

佐賀錦振興協議会の会員によって手織りされる佐賀錦=佐賀市松原4の佐賀市歴史民俗館・旧福田家で2024年6月27日午後2時0分、西脇真一撮影

 「佐賀錦」が再び日英交流の表舞台に――。英ロンドン・バッキンガム宮殿で25日に開かれたチャールズ国王夫妻主催の晩さん会で、カミラ王妃は皇后さまから贈られた「佐賀錦」のハンドバッグを手にした。繊細華麗な幾何文様が特徴のこの手織物は、1910年にロンドンで開かれた日英博覧会に「佐賀錦」と名付けられて出品された歴史がある。関係者は「これをきっかけに素晴らしさがさらに広まれば」と話す。

 佐賀錦は金や銀などを貼った和紙を1ミリ以下に裁断して縦糸に、絹糸を横糸にして網代(あじろ)、紗綾形(さやがた)、ひし形など伝統の文様を織っていく。

 江戸末期、佐賀藩の支藩、鹿島藩鍋島家の9代藩主夫人が病床で天井の「網代組」を見て考案したと言われる。同じ支藩の小城藩から鹿島藩に伝わったとの説もある。

 「鹿島錦」と呼ばれ武家の子女の手習いとして伝えられたが、明治に入り存続の危機に陥った。だが、佐賀出身の政治家、大隈重信の計らいで「佐賀錦」として日英博覧会に出品され「日本手芸の極地」と称賛されたという。

 現在は「県指定伝統的地場産品」になっている。織り手の育成や商品開発などに取り組む「佐賀錦振興協議会」には181人が所属し、佐賀市松原の市歴史民俗館・旧福田家で活動する。

 協議会の大坪順子副会長(65)によると、織り機は使えず小さな織り台で作る。1万円台の名刺入れや数十万円のバッグなどさまざまな作品があるが「ひな人形の着物のようなものだと1日に1センチ織れればいい方」だと言い「仕事や会社の事業として成り立つものではない」と話す。

 佐賀錦のバッグは以前から皇室の贈答品に選ばれており、1991年に当時ソ連の大統領だった故ゴルバチョフ氏夫妻が来日した際、ライサ夫人に贈られたこともある。

 大坪さんは「昔はデパートに持って行っても『何ですか』と言われることがあった。認知度は上がっており、作品の素晴らしさがさらに広まれば」と喜んでいる。【西脇真一】

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