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転勤先で土地購入、退職後に夫婦で築いた花園 一般公開終了 山形

毎日新聞 / 2024年6月29日 9時30分

「まんさくの庭」に立つ三宅早苗さん(左)と由紀さん=山形市で2024年6月24日、竹内幹撮影

 山形市の西蔵王にある約1000坪の「まんさくの庭」。四季折々の花が彩り、訪れる人の目を楽しませてきた。24年前、荒れ地を切り開き、「理想の庭」を求め続けた夫婦は、今月末で個人宅の庭を公開する「オープンガーデン」をやめることにした。

 山形市街を車で抜け、山道を約20分走ると、まんさくの庭の小さな看板が見えてくる。三宅早苗さん(82)と妻の由紀さん(76)に庭の中に案内されると、色とりどりの花が咲き誇り、緑の草木であふれていた。

 小道を通ったり、小さな坂をあがったり、別世界を散歩しているようだ。庭の向こうには月山や朝日連峰が望める。由紀さんは「春から雪が降るまで、何かしら花が咲いているように植栽しているの。今はバラやアジサイが見ごろよ」と教えてくれた。

 夫婦は岡山県倉敷市出身。医療機器会社に勤めていた早苗さんは転勤が多く、アメリカ、ベルギーなど海外で長く過ごした。1991年から3年間は山形県に赴任。「ここに来て、なぜかほっとした。自然の豊かさ、人の温かさを改めて実感し、縁を感じた」と話す。山形から東京へ転勤する前、由紀さんが夢見てきた庭造りをするため、西蔵王の土地を「清水の舞台から飛び降りる気持ち」で購入した。

 2000年、早苗さんの早期退職に伴い、西蔵王に夫婦で移住した。早苗さんは「これまでずっと転勤で連れ添ってくれて感謝している。庭のことはよく分からないけど、自分もできる限り手伝いたい」と、由紀さんの夢の実現を後押し。共に懸命に荒れ地を切り開き、作業用一輪車がパンクするほど何回も大きな石を運んだ。

 4年後、ようやく庭が形になり、一般公開を始めた。「すべて自分流。紙芝居をめくるように、日々、景色が変わっていく庭にしたかった。去年よりよいものをと、毎年そう思っていた」と由紀さん。「花は生き物だから」と旅行にも行かなかった。四六時中、庭のことを考え、手入れを続けた。

 しかし、心境の変化が訪れた。由紀さんはここ数年、「満足した庭ができたのかなあ」と感じるようになったという。年齢を重ね、体力の衰えを感じることもあり、今春、6月末で一般公開をやめることを決断した。

 「あっという間だったけど幸福な時間だった。人様が見てくれるから、ここまで続けることができた。ちょっとは人の役に立てたのかな」と夫婦は話す。

 一般公開は30日(午後1~4時)。入園料は250円。【竹内幹】

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