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寸断続く能登の大動脈・国道249号 道ふさぐ土砂…復旧はいつ

毎日新聞 / 2024年6月30日 14時0分

岬を巡るルートを確認する能登復興事務所の担当者ら。正面に見えるはずの逢坂トンネル入り口は土砂で埋まっている=石川県珠洲市真浦町で2024年6月17日午前11時32分、竹中拓実撮影

 能登半島地震の発生から1日で半年を迎える。石川県奥能登地方の交通の大動脈・国道249号はいまだに輪島、珠洲両市で寸断が続いている。国交省北陸地方整備局能登復興事務所は6月28日、年内に複数の寸断ポイントで1車線分の通行路を確保する見通しを示した。大量の崩落土砂で閉ざされた現場はどうなっているのか。ようやく本格化した復旧工事の現場を訪ねた。

 国道249号は特に奥能登の日本海側、外浦海岸では生活に欠かせない道路だが、地震で各所が寸断された。

 このうち、輪島市の観光名所・白米(しろよね)千枚田付近は5月2日、隆起した海岸部を利用した迂回(うかい)路が通行可能となった。同市東部の南志見(なじみ)地区と市中心部がようやくつながったが、その先、東隣の町野地区につながる道は閉ざされたままだ。

 6月17日、その現場を訪ねた。南志見地区の住民が海水浴などで親しんできた三ツ子浜だ。小さな砂浜だったはずが、隆起した岩場が広がる。国道は土砂で埋まって見えず、大型クレーン車が崩落土砂に巻き込まれているのが見えた。同行した復興事務所員らによると、2023年5月に能登を襲った地震の復旧工事に当たっていたが、今回の地震に巻き込まれた。その分解・撤去も難題だ。

 海上に突き出し、目印として地域住民が見慣れていた岬「白崎」は先端部が崩落し、えぐれていた。ただ、その付け根部分の路面は使える状態という。隆起海岸に仮設道路を設けつつ高低差が極端にならぬよう坂越えの道を造る方針だ。

 輪島方向にいったん戻って山側の迂回路を通り、町野町の隣接地区、珠洲市真浦町へ抜けた。国道が使えれば10分かかるかどうかの距離だ。解体が進まぬ倒壊家屋が目立つ町野町中心部を徐行しながら進み、結局40分近くかかった。

 珠洲市西端の真浦町は周囲を険しい山並みに囲まれ、市中心部に行くには逢坂(ほうさか)トンネル(延長632メートル)を通らなければならない。

 トンネル入り口をふさぐ大量の崩落土砂。「10トントラックで2万台分くらいですかね」。立ち会ってくれた能登復興事務所の道路計画責任者、田中義太郎さん(47)が、さっと計算した。道路事情が悪い中、どれだけ搬出に時間がかかるのか想像がつかない。

 通行を可能にする「啓開(けいかい)」が長引いているのは、どこに応急仮設道路を造るのか、再崩落を起こさぬよう地質調査などが必要なためだという。トンネル入り口を「啓開」するためには、土砂が滑り落ちてこぬよう、上部の土砂除去から始めなくてはならない。

 ここは山並みがそのまま海に入る急勾配の岬があり、隆起岩盤が少ない。山腹を巡る仮設道路のルート図は造られたが、崩落土の除去を進めながら実際のルートを固めていく。

 工事用仮設道路の泥に足をとられながら、急傾斜地を登った。標高80メートル前後。樹木の伐採など工事は始まったばかりだった。見渡す山腹のあちこちに崩落地が目立つ。

 「いつごろ通れるのか。それを住民は聞きたい。めどを言えませんか」。一緒に泥だらけとなった能登復興事務所員に何度も尋ね、困らせた。「それを私たちも1日でも早く知らせたい。でも無責任なことは言えない」。雨天時には労災事故を防ぐため工事中断も必至だ。「やりがいはあります。地域のために」。現場責任者の1人は質問を交わしつつ、そう言い切った。

 逢坂トンネルを抜けたらすぐの同市仁江(にえ)町も見に行った。本来ならば「みそ汁が冷めない距離の隣町」。輪島市と能登町をぐるりと迂回し、かかった時間は結局、車で約2時間だった。【竹中拓実】

    ◇

 能登復興事務所が28日に発表した国道249号の通行確保時期の見通しは次の通り。

 <輪島市中心部と南西の同市門前町を結ぶ区間>中屋トンネル=9月末までに1車線、年内に2車線確保

 <輪島市中心部と東方の珠洲市中心部を結ぶ区間>千枚田=年内に2車線確保▽三ツ子浜―町野町大川=年内に1車線確保▽逢坂トンネル=年内に1車線確保▽大谷トンネル・ループ=未定

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