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「13年長かった」 大堀相馬焼・陶吉郎窯が浪江に帰還

毎日新聞 / 2024年6月30日 17時30分

「走り駒」と呼ばれる馬の絵と青いひびの模様が入った大堀相馬焼=福島県浪江町大堀の陶吉郎窯で2024年6月30日午前10時30分、松本ゆう雅撮影

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となり、昨年3月に避難指示が一部解除された福島県浪江町大堀地区で、地元に伝わる国指定の伝統的工芸品「大堀相馬焼」の窯元「陶吉郎窯」が30日、約13年ぶりに工房と店舗をオープンさせた。窯元が同地区に帰還して再開するのは初めて。店内は避難先から訪れた住民や愛好家など、再開を祝福する人々でにぎわった。

 大堀相馬焼は300年以上の歴史があり、「走り駒」と呼ばれる馬の絵や青いひびの模様が特徴。東日本大震災前は20以上の窯元があったが、原発事故で退去を余儀なくされ、半数以上の窯元が休止、廃業に追い込まれた。

 陶吉郎窯の近藤学さん(70)は避難先の同県いわき市に工房を建て、製作を再開したが、「伝統を未来につないでいくためには大堀でやるしかない」との思いは常にあったという。昨年3月に地区の一部で避難指示が解除されると、いわき市との2拠点で活動することを決めた。大堀の工房が完成し、今年2月から作陶を始めた。

 店内には再建した工房で作られた、伝統的な青いひび模様の作品をはじめ、約400点が並べられた。近藤さんの高校時代の同級生で、いわき市から訪れた佐藤勇一さん(70)は「よくここで再開したなと思う。情熱がなければできない」と帰還を喜んだ。佐藤さんは浪江町請戸地区出身。津波で自宅を失い、持っていた大堀相馬焼の陶器も流されたという。「店舗の再開をきっかけに、窯元が増えて震災前のようなにぎわいが戻ればいいね」と話した。

 近藤さんは「避難指示の解除がもう少し早ければ、他の窯元も戻れたと思う。13年は長かった。今日はスタートライン。多くの人々に知ってもらえるように工夫していきたい」と決意を新たにした。【松本ゆう雅】

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