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見せてもらおうか、博多祇園のガンダム山笠を ファンの人形師制作

毎日新聞 / 2024年7月1日 11時7分

νガンダムとサザビーの戦いが飾られた八番山笠・上川端通の飾り山笠に足を止める人たち=福岡市博多区で2024年7月1日午前10時21分、金澤稔撮影

 ν(ニュー)ガンダムが、サザビーが、福岡・博多の夏の風物詩「博多祇園山笠」に見参--。人気アニメシリーズ「ガンダム」をモチーフにした八番山笠・上川端通の飾り山笠(やま)「ガンダム 博多迅雷伝」が1日午前、福岡市博多区の上川端商店街でお披露目された。ガンダムファンの博多人形師が熟練の技を注ぎ込んだ「ガンダム愛」にあふれた山笠だ。

 山笠にガンダムが登場するのは初。商業施設「ららぽーと福岡」(同区)に全国で2体しかない実物大の立像「RX―93ffνガンダム」が展示されていることや、シリーズ第1作「機動戦士ガンダム」が2024年で放送開始45周年を迎えることから実現した。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産でもある山笠はこの日から博多、天神地区を中心に高さ10メートル超の13基の飾り山笠が一般公開。上川端通の飾り山笠は祭りのクライマックス「追い山笠(やま)」(15日)などで唯一、櫛田(くしだ)入りを披露する「走る飾り山笠」として知られ、毎年多くの市民らを魅了している。

 上川端通の見送り(背面)の標題である「ガンダム 博多迅雷伝」は立像のベースでもあり、地球連邦軍のパイロット、アムロ・レイが駆る「RX―93νガンダム」が登場する映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(1988年)がテーマ。νガンダムとネオ・ジオンの総帥で「赤い彗星(すいせい)」ことシャア・アズナブルの赤いモビルスーツ「サザビー」が、雷鳴のごとく激しい戦いを繰り広げる戦闘シーンが表現されている。

 手掛けたのは、40年以上にわたって山笠の人形制作に携わってきた博多人形師・田中勇さん(52)=同市早良区=だ。自身もガンダムのファンという田中さんは制作依頼を受け、すぐに「ぜひ、やりたい」と快諾したという。

 ららぽーと福岡の実物大νガンダムの設計図面や過去のガンダムシリーズを参考に、4月から制作を開始。山笠人形の胴体は衣装から見える頭と手足の部位を制作するのが通常なのに対し、今回のガンダムとサザビーはパーツの数が通常の5、6倍に上った。「足だけでも20ぐらいのパーツを組み合わせて作っている」と田中さんが明かす。

 最も苦労したのはνガンダムの顔だ。「『目』が奥まっていて瞳もなく、枠線と陰のみで表情をあらわすのが難しかった」からだ。

 νガンダムの目の書き直しやマスクの長さの修正など数十回以上、改良を重ねた。サザビーの「モノアイ」(目)やビームトマホーク、νガンダムの目はLED(発光ダイオード)電球で点灯する工夫をこらした。

 6月29日にあった飾り付けでは、計1時間以上かけてνガンダムやサザビーの取り付け位置や角度を調整。田中さんは「まだまだやり足りない。作っているのが楽しかったので『終わっちゃった』という感じです。見た人から『かっこいい』と言ってもらえたらうれしい」と笑った。

 飾り付けの様子を見ていた、ガンダムのファンという男性(62)=同市博多区=は「本物と遜色のない立派な人形。歴史物から、はやりものまで完璧に作る博多人形師のプロの技に驚いた」と目を輝かせた。

 バンダイナムコフィルムワークスのガンダム事業部の担当者も「伝統ある神事のモチーフとしてガンダムを飾っていただけるのは大変光栄。完成予想図を見た時、非常に風情があると感じ、人形一つ一つも緻密に再現され、大切に作っていただいていると感じた。地元で愛されるシンボルになってもらえたら」と期待を寄せる。

 上川端通の総務、長崎正洋さん(60)は「今年も予想以上の出来栄え。この迫力を間近で見て、走る飾り山笠を楽しんでいただけたら」と話した。【栗栖由喜】

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