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「また暮らしたい」輪島で再起を目指す職人たち 能登半島地震半年

毎日新聞 / 2024年7月6日 16時0分

出張ワークショップ後に、長女の夏紬羽ちゃんを抱きかかえる輪島塗職人の諸石健太郎さん(左)と妻優子さん(右)=大阪府熊取町で2024年6月8日、滝川大貴撮影

 能登半島地震から半年が経過した。震度7と甚大な被害を受けた石川県輪島市では多くの建物が倒壊し、中心部の「朝市通り」では200棟以上が焼けた。仮設住宅や避難先を拠点に少しずつ仕事を再開する人がいる一方、今も動き出せない人も。「輪島でまた暮らしたい」と考える被災者たちを訪ねた。

 「ちゃんと待てて偉かったね」。6月上旬、大阪府熊取町の出張ワークショップに来ていた輪島塗職人の諸石健太郎さん(41)は、妻優子さん(41)と待っていた長女夏紬羽(なつは)ちゃん(2)を抱きあげた。

 諸石さん夫婦は共に輪島塗職人で、オリジナルの漆器ブランドを設立している。地震で自宅や漆器の在庫と仕事道具を失った。2月下旬から市内の仮設住宅に入居。一室を作業用の部屋にして、一部の仕事を再開した。

 再開後は、作品作りの合間を縫って、関西や東京など各地のワークショップやイベントに足を運び、忙しく過ごす。6月には初めて一から仕上げまで全てを自分たちで作った作品を持ち込み、大阪でワークショップを開いた。

 一家で各地を訪れる生活に、優子さんは「この地震を通してたくさんの人に助けられた。娘には毎日同じ時間に食事するような規則正しい子育てはできていないけど、いろいろな人に出会いながら、いつか自分も他人を助けられるような子に育てたい」と娘の頭をなでた。

 輪島漆器を販売・製造していた「なつめの店 小西」で蒔絵(まきえ)や沈金作業をしていた職人の小西寛さん(76)は職場を失い、今も再開が見通せない日々を過ごす。輪島の朝市通りでは、6月上旬から建物の公費解体が進められているが、「5カ月たってようやく始まったばかり。再建まで何年かかるのか、行くたびに時間が止まったような気持ちになる」と先行きを不安視する。

 家族を失った知人の話をすると、大粒の涙がこぼれ落ちた。「朝市通りを見たり、地震を思い出したりすると涙が出る。お客さんと話しながら商品を作るのが楽しみだった。あの日々に戻りたい」【写真・文 滝川大貴】

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