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母親「いじめの姿がはっきりと見えた」 旭川中2いじめ自殺

毎日新聞 / 2024年7月2日 22時48分

女子生徒が遺体で見つかった公園に供えられた花束やジュース。手を合わせに来た近所の男性は「冬は1、2メートルの雪が積もり、人は近づかない」と話した=北海道旭川市で2021年4月30日午前11時10分、岸川弘明撮影

 北海道旭川市で2021年にいじめを受けていた中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14歳)が自殺した問題で6月30日に市の再調査委員会が「いじめが主たる原因であった可能性が高い」とする報告書の概要版を今津寛介市長に提出したことを受け、広瀬さんの母親が2日、弁護士を通して談話を発表した。「とてもつらい答えですが、しっかり受け止めたいと思います」などとしている。

 市教育委員会の第三者委員会は22年9月に公表した最終報告書で、上級生らによるいじめを認定したが、いじめと自殺の因果関係は「不明」とした。「調査が不十分」とする遺族側の意向を受け、今津市長が教育評論家の尾木直樹氏を委員長とする再調査委を設置。改めて事実関係を調べていた。

 再調査委は、広瀬さんは、いじめによる心的外傷後ストレス障害(PTSD)が長期化し、SNSの投稿などから「恐怖や死についても最後まで言及され、継続して苦しめ、死を決意させたと判断することは困難ではない」と認定。広瀬さんの動作をまねて笑うなどした当時のクラス内の行為を含めて7件のいじめがあったと結論づけた。

 母親は再調査について、「爽彩の視点に立って、爽彩に寄り添った調査をしてくれている」と感謝の気持ちを示した。また、いじめのフラッシュバックで苦しむ様子などが明らかになったことに対して驚き、悲しい気持ちを吐露しながら、「やっと答えが出た」「爽彩も、きっと安心してくれたと思います」と複雑な胸の内を明かした。

 これまでを振り返り、「長くて辛い日々でしたが、再調査の結果は以前とまったく違うものになりました。これまで知らなかった『いじめ』が見つかり、前の調査では認めてもらえなかった『いじめ』も認定されました。ぼんやりしていたいじめの姿が、とてもはっきりと見えるようになったことに驚いています」とつづった。【横田信行】

談話全文

 ようやく、再調査の結果が出ました。1年6カ月は長い期間でしたが、爽彩の声を見つけるためにどうしても必要な時間だったのだと思います。

 本当に大変な調査をしてくださった再調査委員のみなさん、再調査を決断してくださった旭川市長、再調査を支えてくださった旭川市民のみなさん、そして温かい支援の手を差し伸べてくださった全国の皆さんに、心から感謝を申し上げたいと思います。爽彩に寄り添った対応をしていただき、本当にありがとうございました。爽彩も、きっと安心してくれたと思います。

 特に、難しい再調査を決断して、全国各地から専門家を集めたり、予算をつけたり、再調査を全面的にサポートしてくださった市長には感謝しかありません。市長の決断なしに今回の調査結果はなかったと感謝しています。

 再調査の中で、あのときのことを思い出すのは本当につらいことでした。聴き取りのとき、自然と涙がこぼれてしまうこともありました。眠れなくなることもありました。

 今も、爽彩と過ごしたときのことをなるべく思い出さないようにしています。あの2月13日、いつものように私を見送ってくれた爽彩のことが、ずっと心に残ったままです。思い出すたびにつらくなるので、自然と、あのときの記憶を消そうとしていたのかも知れません。

 でも、いつも明るく、優しい爽彩の笑顔を忘れることはできませんでした。爽彩のことを思い出すたびに、また会いたい、またいっしょにお出かけしたい、と思います。

 今も、爽彩は心の中にいます。

 なぜ、どうして、と自分に問い続ける日々でした。でも、やっと答えが出た、そう受け止めています。とても辛い答えですが、しっかり受け止めたいと思います。

 爽彩がこれほどたくさんのメッセージをSNSでやり取りしていたとは知りませんでした。代理人の弁護士が調べると、当時のメッセージがたくさん残されていることが分かり、中には「いじめ」のトラウマに悩んでいるような内容がいくつもありました。私はつらくてすべて読むことはできませんでした。

 再調査委員会の分析で、爽彩がいじめのフラッシュバックで苦しんでいた様子が目で見て分かる形になっていて、こんな分析ができるのかと驚き、同時に、とても悲しい気持ちになりました。

 以前、教育委員会の第三者調査委員会にも一部のメッセージは提供しました。でも、代理人の弁護士から、爽彩の声にはあまり関心がないようだ、情報が漏れそうだ、というアドバイスがありました。なので、弁護士の判断で、資料の提供は最小限にしてもらいました。

 でも、再調査委員会の皆さんは本当に爽彩のことを思い、真剣に考えてくれている、爽彩の視点に立って、爽彩に寄り添った調査をしてくれている、そう思えました。なので、弁護士のアドバイスを受けて、膨大な量のメッセージを集めて再調査のためすべて提出することにしました。医療情報も同じように、前回の調査では控えとてもつらい答えですが、しっかり受け止めたいと思いますたものを含めて、すべての資料を提供しました。

 長くて辛い日々でしたが、再調査の結果は以前とまったく違うものになりました。これまで知らなかった「いじめ」が見つかり、前の調査では認めてもらえなかった「いじめ」も認定されました。ぼんやりしていたいじめの姿が、とてもはっきりと見えるようになったことに驚いています。

 そして、教室で受けた「いじめ」がどれほど爽彩を孤立させたのか。性的いじめが、どれほど爽彩の心を傷つけたのか。そして、その傷がどれほど長い間、爽彩に苦しみを与え続けたのか。残酷すぎる現実に、胸がえぐられる思いでした。

 今回、このような調査結果をいただくことができたのは、再調査委員会のみなさんのおかげであると同時に、再調査を決断してくださった市長、支持してくださった市民の皆さんのおかげだと受け止めています。そして、全国からお寄せいただいた支援のおかげで、新たな資料を発見することができました。

 爽彩の母親として、この場を借りて心からの感謝を改めて申し上げたいと思います。

 重ねまして、みなさまのお力添えに心からの感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。引き続き、みなさまのお声を励みに頑張っていきたいと思います。

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