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無料3Dビューワーで仏像観察 写真で顔立ち測定、切断面の表示も

毎日新聞 / 2024年7月6日 9時30分

ビューワーを開発した山田修・奈良県立大教授。3Dデータから像を修復する専門家だ=奈良市で2024年6月14日午後4時45分、稲生陽撮影

 ウェブ上に表示された仏像の三次元(3D)画像から詳しいサイズを測ったり、切断面を表示したりできる無料3Dビューワー「ナラメモリー」を山田修・奈良県立大教授が完成させた。アプリやソフトは不要で、ホームページ(https://naramemory.jp/)に接続すれば使える。スマートフォンなどの無料スキャニングアプリで撮影して自分で立体の形をデータにすれば、それを基に身の回りの物品を詳しく分析することもできる。

 こうした3Dビューワーを使った文化財データの公開は国内外の研究機関が進めている。だが、アップロードされている彫像などの詳細な3Dデータを得るためには有料となるものも多く、一般の無料利用者は3Dの粗い画像を動かして観察するなど利用方法が限られていた。

 山田教授は3D計測を用いた仏像などの修復が専門で、国内外の文化財のデジタルデータ化にも携わってきた。この経験を生かして今回開発したビューワーでは、写真から取り込んだ像の顔立ちや部品の大きさなどをミリ単位で測定できる他、ある平面で切った際の断面を好きな方向から表示することも可能だ。

 仏像は制作手法の変更から時代ごとに凹凸の特徴が大きく、断面を比較することで分かることは多いという。また遠近感のある透視図法と、設計図に使われる正投影図法での表示に切り替えられるため、修復時の設計図を作るにも適している。光を当てる方向や強さを変えての比較もできる。

 新たなビューワーはコロナ禍で外出自粛が求められる中、自宅で仏像を観察できるようにと山田教授が2022年度から開発を始め、23年10月から専用サイトで公開している。スマートフォンやタブレットでも使える。サンプルとして、国宝を含む仏像や埴輪(はにわ)など13種類のデータを掲載しているが、それに限らず、利用者が自分でスキャンしたデータも表示できる。国宝などの通常は触れられない文化財などでも、スキャニングアプリで撮影し立体の形のデータを読み込めば詳しく分析できるという。

 山田教授は「実物を並べても分からない凹凸の差も、断面で比較すれば分かる。像の修復や研究向きだが、物のサイズや断面を表示できるので学校の授業などにも活用できるはず」と話している。【稲生陽】

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