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豪雨被災の佐賀「名尾手すき和紙」、直営店が移転 五感で楽しんで

毎日新聞 / 2024年7月7日 10時35分

100種類の商品事例の展示の前で、梶の木を原料にしたお香を手にする谷口さん=2024年6月28日午後2時8分、斎藤毅撮影

 2021年8月に佐賀県内を襲った豪雨で被災した佐賀市大和町名尾地区の「名尾手すき和紙」の直営店「KAGOYA」が、昨年8月に近くに再建された工房の隣接地に移転オープンした。工房と直営店が再び一体となって和紙の魅力を発信できるようになり、七代目の谷口弦さん(33)は「工房も直営店も見てもらい、和紙を五感で楽しんでほしい」と期待を込める。【斎藤毅】

 名尾地区では約300年前に和紙作りが始まった。昭和の初めごろまで100軒以上の工房があったというが、現在は谷口さんの工房1カ所だけ。原料に梶(かじ)の木が使われており繊維が長いため丈夫で、提灯(ちょうちん)紙や神具、番傘のほか、文化財修復などにも使われている。

 工房は21年の豪雨による土石流で傾くなど大きなダメージを受け、隣接する直営店や自宅も土砂や泥が流れ込むなどの被害に遭った。工房は昨年8月に300メートル離れた同地区内に移転オープンしたが、直営店は元の場所で営業を続けていた。

 従来から工房と直営店は一体的に運営しており「工房の移転だけでは復興は道半ば。元の形に戻したい」と、昨秋に工房隣接地に直営店を着工。6月22日に開店にこぎ着けた。

 梶の木を「かご」、工房を「紙すき小屋」と呼んでいたことから、店名は「かご」と「小屋」を合わせた「KAGOYA」にした。木造平屋で約200平方メートル。「300年すいてきた和紙を五感で感じてほしい」と店内には工夫を凝らした。

 工房で手掛ける100種類の和紙を天井からつり下げ、直接見て、触れることができるほか、BGMには紙すきの音や和紙がこすれ合う音などが流れる。梶の木を原料にしたお香がたかれ、梶の木の葉を使ったお茶も販売されている。

 扇子や便箋などの商品の展示・販売は従来通りだが、巾着やクッション、スリッパ、トロフィーなど和紙の新たな利用への提案を含む100種類の商品事例も常設展示。店内奥には空間全体に和紙が貼られたギャラリーも併設する。

 谷口さんは「和紙をいろんな方向から感じることができる店。和紙の概念が少しでも変わり、楽しいものだと思ってもらえれば」と話している。問い合わせは「名尾手すき和紙」(0952・63・0334)。

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