戦地を転々、100歳に 進駐軍のピアノ、今もメロディー響かせ
毎日新聞 / 2024年7月10日 8時30分
第二次世界大戦中に米軍とともにインドネシアやニューギニアなどを転戦したと伝わり、戦後に秋田市の進駐軍キャンプに持ち込まれたアップライトピアノが秋田県立博物館(秋田市金足鳰崎(におざき))に展示されている。1924(大正13)年製造のピアノは今年でちょうど100歳。調律師の手で細やかに調整、修復され、今も現役で硬質な音を響かせている。
同博物館などによると、ピアノは米国シカゴのガルブランセン社製。刻印された製造番号から24年製と分かるという。戦地での使用や運搬に耐えられるよう、通常のアップライトピアノより背が低く、底面積を広くして安定させ、鉄骨で補強されている。頑丈な造りのため、非常に重く、男性職員が6人がかりで動かすという。
現在の秋田市立旭北小学校にあった進駐軍キャンプの食堂に置かれていたこのピアノを、キャンプで通訳をしていた調律師、佐々木実さん(故人)が退職金代わりに譲り受けた。一度は人手に渡ったが、半世紀後の2003年に佐々木さんの手元に戻り、半年かけて修理したうえで04年に博物館に寄贈した。
佐々木さんの後を継ぐようにこのピアノを手がける大仙市の調律師、佐藤尚さん(69)によると、100年前のピアノはペダルが2本のはずだが、このピアノは3本に改修され、ひびや傷も補修し、塗装し直されている。館内での演奏に向けて調律を施した佐藤さんは「この季節は湿度も高い。普段と比べ、しっとりした音色になっている」と話した。
ピアノが初めて日本に持ち込まれたとされる「ピアノの日」の6日には、同館2階ロビーで、ピアノとバイオリン、フルートのトリオドルチェによるコンサートが開かれた。歴戦のピアノに敬意を表して坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」で始まり、初演から100年を迎えるジョージ・ガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」など9曲が演奏され、約200人が聴き入った。
初めてこのピアノを演奏したという佐々木久美子さんは「十数年前に被爆ピアノを弾く機会があった。今回は進駐軍のピアノ。不思議な巡り合わせを感じます」と語った。【高橋宗男】
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