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あなたの悩み、チャットで教えて 子どものSOSに応えるタッグ

毎日新聞 / 2024年7月13日 11時0分

チャット相談「ブリッジ」の画面イメージ=認定NPO法人「カタリバ」提供

 もうすぐ夏休みを迎える子どもたち。2学期が始まる夏休み明けには、自殺を考えたり、不登校になったりする児童生徒が増加すると言われる。こうした子どもたちからの「SOS」に応えるため、子どもの居場所づくりや学習支援などに取り組む認定NPO法人「カタリバ」(東京都)と石川県加賀市が2023年9月からタッグを組んでチャット相談を実施。自殺につながりかねないケースなどを早期発見するなど、成果を上げている。

 加賀市で実施されているのは、カタリバの子ども向けチャット相談窓口「ブリッジ」を活用した取り組み。子どもの身の危険に関わる相談に限り、カタリバが「橋渡し役」を担って市教育委員会へ通報し、学校が対応するのが特徴だ。

 加賀市内にある小・中学校全23校の児童生徒が、1人1台ずつ配布されたデジタル端末を使ってチャット相談できる。児童生徒は端末に入ったチャット相談アプリを使って悩みをつづったメッセージをチャットに打ち込み、カタリバの相談員が返信する仕組み。相談員は元教員や社会福祉士らの専門職と連携し、支援方針を考えている。

 児童生徒は、学校が配布しているメールアドレスでユーザー登録したうえで匿名で相談できるが、子どもの安全が脅かされる事態には、カタリバが市教委に事案の内容とメールアドレスを連絡する。市教委は児童生徒が在籍する学校に連絡し、学校側は相談内容に触れないよう配慮したうえで、経過を見守ったり、面談をしたりするという。

 23年9月から24年3月までに、趣味の話など雑談のような内容も含めて、チャット相談を利用した児童生徒は23校の約4200人のうち1125人で、月平均254件の相談が寄せられた。内容は、子ども間のトラブルが多く、交友関係に関する不安や嫌がらせ、恋愛に関する相談が多かった。

 「いじめを受けている。学校で1人で泣いていることもある」

 相談チャットに寄せられたあるメッセージは、子どものSOSがにじみでていた。市教委から学校に連絡したところ、事案を把握しておらず、学校が急きょ対策チームをつくって対応した。その後、状況が改善し、相談を寄せた子どもは手書きのお礼文の写真を撮って、チャットで送信してくれたという。

 カタリバによると、24年1月までに、死にたいと願う「希死念慮」やいじめなどの「重大な懸念事案」計25件を早期に発見できたという。

 厚生労働省と警察庁によると、自殺した小中高校生は22年に過去最多の514人となり、23年も513人と高止まりしている。

 加賀市教委の担当者は「今の子どもたちにとって、電話相談はハードルが高く、チャット相談の方が気軽にできる。家にも学校にも子ども同士でも言えないことがあり、チャット相談が気持ちのはけ口になっている」と取り組みの意義を説明した。【御園生枝里】

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