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九州新幹線、全国初の価格変動制導入 支えは社員のアナログ分析

毎日新聞 / 2024年7月17日 16時30分

JR博多駅に停車する九州新幹線「つばめ」=福岡市博多区で2023年8月24日午前8時17分、下原知広撮影

 JR九州は7月から九州新幹線の鹿児島ルート博多―熊本間で、インターネットの割引切符に価格変動制を本格導入した。新幹線区間で価格変動制を導入するのは全国初。需要を予測して価格を上げ下げし、混雑の緩和を目指す。価格を決めるのはコンピューターと思いきや、過去の乗車データを基にした社員の需要予測によるものだった。

 鹿児島ルートには、各駅停車の「つばめ」、停車駅を絞り、速さを重視した「みずほ」、その中間的な役割の「さくら」の3種類の新幹線が走行している。運行は臨時便を除き、原則1日上下101本で、みずほ上下16本▽さくら同44本▽つばめ同41本。

 新型コロナウイルス禍が収束に向かい観光客が増加し始め、みずほやさくらでは、自由席の通路やデッキに立つ姿が見られるようになった。一方のつばめは、「遅い」というイメージがあるのか、博多―熊本間の到着時間はみずほやさくらと約10~15分しか変わらないのに利用は低迷していた。

 つばめを減らして、さくらを増やす方法も考えられるが、同社は「1時間に1本は列車を止めてほしいという地域の要望もあり、そうすることはできなかった」という。つばめに乗ってもらうにはどうすればいいか。考えたのが列車によって値段を変える価格変動制だった。

 参考にしたのは、JR九州のインターネット予約の割引切符だ。博多―熊本の大人の片道(指定席)正規料金は5230円だが、ネット予約では、7日前なら片道3800円、3日前なら4300円で切符を販売していた。

 そこで価格変動の上限は割引切符の3日前の値段を上回らない4200円、下限は割引切符の7日前の3800円より400円安い3400円にした。

 3月から実証運行を始めたところ、完全に平準化されたとは言い切れないが、みずほやさくらと比べ低価格のつばめを選択する乗客が増え始めた。

 列車ごとの価格設定は、予約や正規料金で乗車する利用者の情報を同社営業部が受け取り、九州新幹線の過去の乗車データを踏まえて決める。

 過去のデータで混雑率の高い列車があれば、その日にイベントなどがあったのか、365日、101本の列車ごとに一つ一つ人の手で分析する。野球やコンサートのようにわかりやすいイベントであればいいが、そうでないイベントもあるという。

 営業部営業課の古賀駿太郎さん(26)は「過去の乗車データやその日に何があったかを調べ、需要予測する。前の年にイベントがあっても次の年にはないこともある。人の需要を読むのは難しい」と話す。

 矢野慎一郎・担当課長(46)は「混雑を緩和するために価格変動制を導入した。ノウハウを蓄積して将来的にはこの分野の専門家を育成できれば」と話した。

 古宮洋二社長は今年1月の定例記者会見で「より少ない時間帯にお客様にシフトしていただく。平準化することで、お客さまにとっても利用しやすくなる」と語っていた。【下原知広】

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