支援は子どもや教員、母親 変わりゆく教育NPOの被災地対応
毎日新聞 / 2024年7月20日 6時30分
「子どもや先生たちに、少しでも日常を取り戻してほしい」
子どもの教育支援に取り組む認定NPO法人「カタリバ」(東京都)のスタッフらは元日、能登半島が震度7という強い揺れに襲われたと報じられると、その翌々日には現地を訪れた。
その後、カタリバの支援の形は、子どもたちだけでなく、教員や母親らへの手助けなど、時間の経過とともに大きく変わっていくことになる。
地震の直後、能登半島各地の小中学校や高校は避難所となり、そこには多くの被災者が身を寄せ合っていた。
カタリバで支援員を務める石井丈士さん(38)はこんな光景を避難所で何度も目にした。
ある子どもが突然泣き出すと、親は周りの目を気にしてか寒い中でも外に連れ出していた。
別の子どもはスマートフォンを手放さず一日中、ゲームをしていた。
石井さんらは「早急な居場所づくりが必要だ」と感じたという。
そこで、取り組んだのが「みんなのこども部屋」だ。
1月には、石川県の輪島市や珠洲(すず)市、能登町など被害が大きかった半島北部の避難所など7カ所に設置。多い時には11カ所に増えた。
子どもたちが安心できる居場所になるよう、支援員らは被災地から100キロほど離れた金沢市でソファやクッションを調達して、部屋に置いた。勉強机も用意した。
部屋では、支援員らが子どもたちの面倒を見た。これまで小中学生を中心に、延べ3000人以上が利用したという。
1月中旬になると、転機が訪れた。小中学校で授業が相次いで再開されたのだ。
ただ、教員は道路が寸断された影響で通勤時間が大幅に増えたり、自身も被災して通勤できなかったりするなど、厳しい環境に置かれていた。
県教育委員会によると、地震後1カ月ごろまでは車中泊や学校で寝泊まりする教員が100人以上いた。
こうした状況を受け、カタリバは子どもたちだけでなく、教員も支援することに。輪島市と珠洲市、能登町に教員用の居住スペースを1カ所ずつ整備した。
居住スペースは、小学校と中学校の空き教室や図書館を活用。仕切り板で壁を作って個室を作り、ベッドや机などの家具を備え付けた。
教員同士の憩いの場になればと、ソファやテーブルを置いた共有スペースも設けた。
「リフレッシュして『また、あしたからも頑張ろう』と思える空間だった。支援に感謝している」
約1カ月間、この居住スペースを利用した輪島市立大屋小学校の教頭、宮本久美子さん(54)は、そう振り返る。
あの日から半年がたち、被災地では仮設住宅の建設が進むなどして、住民は少しずつではあるが日常生活を送れるようになってきた。すると、カタリバは新たな格好で被災者の支援に携わるようになる。
輪島市内では、子ども服店が被災して夏服を購入できないという問題に直面していた。そこで、地元の小中学生の母親らで作るグループは、子ども服の出張販売をすることにした。
カタリバの支援員らはその相談を受けると、母親らが総合スーパーのイオンリテールに衣類販売への協力依頼をするのを手助けした。母親らは7月上旬、市内で1日限定の子ども服店を開くことができたという。
カタリバの石井さんは「地震直後は、子どもたちや先生たちがいかに安心して生活できるかに着目し、直接的に支援した。今は、被災者自らが立ち上がろうとしている。それを実現できるように支援を続けたい」と語った。【中田敦子】
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