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ひたむきさに魅せられて 社会人野球を撮る写真学生、語る魅力

毎日新聞 / 2024年7月21日 14時0分

五島佑一郎さん=栃木県足利市のジェットブラックフラワーズスタジアムで2024年4月28日、小林祥晃撮影

 栃木県内で行われる社会人野球の大会で、グラウンドに熱い視線を向けるカメラマンがいる。足利市出身の五島佑一郎さん(21)。プロ野球の世界にはないひたむきさに魅せられ、写真専門学校に通いながら球場に通う。チーム関係者からの信頼も厚く、昨年は都市対抗野球大会でも試合の写真撮影を任されたりした。ファインダーを通して見たアマチュア野球の魅力とは。【小林祥晃】

 ――社会人野球を撮り始めた経緯は。

 ◆私自身、小学校時代から軟式野球に親しみ、高校では軟式野球部に入っていた時期もあります。それもあって地元の足利市を拠点とするクラブチーム「全足利クラブ」の試合や練習風景を撮るうちに、社会人野球に奥深さを感じるようになりました。仕事を持つ社会人の選手たちは、夜しか練習できないなど厳しい環境で野球を続けています。そういった選手が強豪の企業チームを相手にいい試合をしたり、勝って喜んだりする姿に魅力を感じます。

 ――写真を始めたきっかけは。

 ◆写真が趣味だった父の影響で、小学生のころから父のカメラを触っていました。中学生のころは鉄道写真を撮っていましたが、本格的に始めたのは高校時代。コロナ禍で修学旅行など多くの学校行事が中止になる中、「高校生活を形に残しておきたい」と感じて、学校にカメラを持って行くようになりました。教室でなにげない日常の風景を撮っては自分のインスタグラムにアップしていました。

 ――思い出を残そうと思ったのですね。

 ◆それを見た友人から「おれたちの部活も撮ってよ」と声をかけられるようになり、頼まれるままに友人たちの姿や、野球部などの部活の写真も撮るようになりました。単なる記録ではなく、将来写真を見返した時に、その瞬間に自分が感じていた気持ちも表現したい、ということを考えながら撮っていたと思います。そうして撮った写真が、あるコンクールで佳作に選ばれ「自分にはこの道が向いているのかもしれない」と自信になり、写真専門学校への進学を決めました。

 ――今はどんな生活を?

 ◆平日は学校に通い、週末や授業が早く終わる日に、各地の球場に出向いて写真を撮っています。社会人野球だけでなく大学野球の試合にも通っています。自分と同い年の選手たちには「写真で応援したい」という気持ちがあるのです。

 ――撮影する時、心がけていることは。

 ◆社会人野球を撮り始めて最も気に入っているカットがあります。全足利クラブが試合前に円陣を組んでいる時、円陣の内側から選手たちの姿を捉えた写真です。監督や選手たちに信頼してもらえないと、そんなアングルでは撮れないので、撮影させてもらえたことが嬉しかった。相手とコミュニケーションを深めることは、写真を撮る上でも大事なんだと学びました。

聞いて一言

 自信作という円陣の内側から撮った写真を見た。斬新なアングル、そして選手や監督らの表情から伝わる緊張感、臨場感がいい。ただ、五島さんの写真には温かさもある。ピンチを切り抜けた直後、ほっとした表情でベンチに戻る投手や、タッチアウトできず悔しがる捕手。こうした表情に迫れるのは、撮る人に「人間愛」があってこそだと思う。

五島佑一郎(ごとう・ゆういちろう)さん

 2003年足利市生まれ。日本写真芸術専門学校(東京都渋谷区)3年在学中。平日は朝6時台の電車に乗り、学校へ通っている。将来はメディアで活躍するカメラマンを志望。「体力と根性には自信があります」

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