双葉町、はたちを祝う会実施せず 出席率低迷、9月に代替町内ツアー
毎日新聞 / 2024年7月22日 15時56分
2011年の東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の出た福島県内の自治体で最も居住再開が遅れた双葉町は、25年1月の「はたちを祝う会(旧成人式)」を実施しないことを決めた。町内より避難先で過ごした時間が長い若者が増え、近年は出席率が低迷していた。
20歳を祝う式典をしない自治体は全国的にも異例とみられる。双葉町は代わりに今年9月下旬、18~20歳になる町出身者を対象に町内ツアーや交流会を企画し、町とのつながりやふるさとの意識を育んでもらう。
事故で全町避難を余儀なくされた町は、避難者の多い同県郡山市やいわき市で成人式を継続。当初の6年間は出席率8割弱~9割強で推移したが、次第に減少。新型コロナウイルスの感染流行で4カ月延期された21年5月の式を震災後初めて町内で開催したところ、前年の55%を大きく下回る31%になった。翌22年はいわき市での開催に戻したが37%と低調で、再び町内開催とした23年が19%(参加11人)、24年は17%(同9人)と減り続けた。
町の一部は22年8月に居住が可能になったが、居住者は100人強にとどまり、震災当時町民だった若者も大半が町外で暮らす。町内で学校も再開していない。
今年度20歳を迎えるのは、事故当時に小学校入学直前だった「年長さん」世代。避難先で小中高を過ごし、震災後の町にほとんど来たことがない人も少なくない。町は「双葉への記憶や思い入れがより薄い世代だが、家庭では町の話題も出ているはず。まずは町を知ってもらう機会をつくるべきだと判断した」と説明。「“ふるさとを、見よう”プロジェクト」と銘打ち、9月28~29日に1泊2日のツアーを組む。
一般社団法人「ふたばプロジェクト」に業務委託し、町内の避難指示解除エリアの街歩き、町内企業や伝承館の訪問、参加者同士の交流会を予定する。交通費や宿泊費を町が負担する。
現行の成人年齢が18歳であることも踏まえ、現在または震災当時に町に住民票があり、今年度18~20歳となる約210人に案内を発送した。
未就学でバラバラに避難し、横のつながりが乏しい若者も多い。町は「参加を機に顔見知りを作ってもらい、来年度から企画をサポートする側に回ってもらうといった形も視野に入れている。継続的に町に関われる場を作っていきたい」と話す。【尾崎修二】
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