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地大豆・地雑穀の復活へ 高校生らが研究・栽培、レシピ開発も 愛媛

毎日新聞 / 2024年7月24日 16時30分

地大豆の苗や地雑穀類を手にグランプリを喜ぶ(前列左から)帽子海音さん、橋口清花さん、(後列左から)浜家百花さん、武智彩さん、町田佑さん=愛媛県久万高原町の県立上浮穴高で2024年7月16日、松倉展人撮影

 全国の高校生が地域社会の課題を解決するためのアイデアや研究成果を競う愛媛大の「社会共創コンテスト2024」で、愛媛県立上浮穴(かみうけな)高校の「天空の郷(さと)に伝わる地大豆・地雑穀の継承と普及 甦(よみがえ)れ! 消えゆく地域資源復活プロジェクト」が地域課題部門で最高賞のグランプリに輝いた。今夏で8回目となるコンテストで、同校のグランプリは初めて。表彰式は8月8日に同大で行われる。

 受賞するのは同校森林環境科3年の町田佑(たすく)さん、いずれも2年の武智彩(さい)さん、橋口清花(さやか)さん、浜家百花(はまいえももか)さん、帽子海音(ぼうしかいと)さんの計5人。全国372の応募作品から選ばれた。

 学校がある同県久万高原(くまこうげん)町は西日本最高峰・石鎚山(1982メートル)の山すそに広がり、平均標高約800メートルの高原の町。久万大豆と呼ばれた「地大豆」や、トウキビ(トウモロコシ)、タカキビ、コキビなど各種の「地雑穀」の栽培が古くから盛んだった。しかし、大豆輸入の自由化で低価格の大豆が広まったことや、高齢化に伴う耕作放棄などで生産は途絶えがちに。豆がやや小ぶりだが、味がしっかりしている地大豆は「幻の大豆」と呼ばれるようになった。

 同校では01年、地大豆を復活させようと農業クラブの活動で栽培を始めたが、約10年前に中断していた。そこで5人は23年秋、「未来に残る持続的な活動にしよう」と、地域資源復活プロジェクトとして地大豆、地雑穀の復活を目指した。環境破壊の少ない持続可能な食べ物や、高い栄養価・機能性を持つ「スーパーフード」として、世界ではこうした作物に光が当たっていることが後押しになった。

 5人は、地域の生産者から地大豆300グラムを譲り受け、学校で栽培を始めた。合わせて県地方局農業指導班との連携で地雑穀の普及・継承活動にも取り組んだ。特にタカキビは米のように炊くことで軟らかい食感になり、代替肉のように料理で使えることも分かった。キーマカレーのレシピを応用してタカキビを使ったカレーを作り、久万高原にちなんで「クーマカレー」と名付けて町内のイベントなどでお披露目した。「母から『本当に肉を使っていないの?』と驚かれました」と橋口さん。

 さらにクーマカレーを使ったカレーパンも開発した。インド料理のパン「ナン」の生地を小麦粉とトウキビ粉のミックスでつくったところ、発酵が安定し、トウキビの自然な甘みを感じられる軟らかい食感になることが分かった。イベント会場で提供したところ、「雑穀がおいしいと初めて知った」という声を聞くことができた。

 地域に古くからある資源を掘り起こし、復活させる一歩を踏み出した5人。「持続可能な開発目標(SDGs)」の17項目のうち「飢餓をゼロに」「働きがいも経済成長も」など、六つの目標に合致することにも手応えを感じている。

 5人は地大豆や地雑穀を使った独自のキャンプ食や防災食の開発にも挑戦。大豆栽培と豆腐作りを親子で楽しめる「自由研究キット」の開発も手がけ、いずれも完成が近い。「地雑穀、地大豆の風味を感じられる」(町田さん)という自信作だ。

 四国では他に、地域課題部門準グランプリに愛媛県立西条農高の「『青パパイヤ』×『ソーラー』による地域課題解決に向けた取組」が選ばれた。同校は20年にグランプリを受賞している。【松倉展人】

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