20年撮り続けた奇祭「撞舞」 地元カメラマン写真展 茨城・龍ケ崎
毎日新聞 / 2024年7月25日 7時0分
高さ14メートルの柱の上で妙技を繰り出し、豊作や厄よけを願う茨城県龍ケ崎市の奇祭「撞舞(つくまい)」を約20年間、撮り続けてきた地元のカメラマン、永井正さん(67)の写真展が同市馴馬町の市歴史民俗資料館で開かれている。「龍ケ崎の撞舞~地上14メートル、雨を願うパフォーマンス」(市教委主催)で、8月31日まで。入場無料。
永井さんは1956年、同市長峰町に生まれ、80年に市役所に就職。97年、仕事で欧州研修に参加したのを機に一眼レフカメラを購入し、本格的に写真を始めた。2006年に「伝統的な行事も撮ってみたい」と撞舞の撮影を開始。今展では07~19年の写真計25点をパネル(A2判)で展示している。
撞舞は、国選択・県指定無形民俗文化財。市によると、450年ほど前から始まったとされるが起源は定かでない。毎年7月下旬、八坂神社の祇園祭最終日の夕刻に行われる。唐草模様の衣装に身を包み、アマガエルの面をかぶった舞男(まいおとこ)2人が14メートルの柱を命綱なしで登り、頂上の円座から四方に矢を放ったり倒立したりする軽業を披露する。舞男の放った矢を拾えば1年間災厄を免れるとされる。
永井さんのレンズが捉えるのは、90年から30年以上舞男を務めてきた谷本仁さん(55)らの雄姿だ。谷本さんは昨年引退を発表したが、後任の大石浩司さん(41)が腕の不調で今夏、参加できなくなり、代理で「復帰」することになった。新人の小菅真幸(まさゆき)さん(39)と共に技を披露する。
永井さんは谷本さんの舞姿を「足先まで美しく、毎年楽しみながら撮影してきた。撮影場所や時刻、天候によってその年々の写真になるのが面白い。写真展を多くの方に見ていただき、その後は本物の撞舞を現地で体験してほしい」と話す。
同資料館によると、永井さんから同館に提供された100点のうち「えりすぐりの写真」を展示。学芸員の油原長武さんは「撞舞の流れが分かる展示となっている。市が誇る伝統芸能の歴史を多くの方に知っていただきたい」としている。
同資料館の開館時間は午前9~午後5時。月曜休館(ただし、8月12日は開館し、13日に休館)。
◇
今年の「撞舞」は7月28日午後6時ごろから、同市根町の撞舞通りで開催される。【鈴木美穂】
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