兵庫・丹波篠山の恐竜化石、新種と判明 白亜紀前期 足の骨に特徴
毎日新聞 / 2024年7月25日 18時0分
兵庫県立人と自然の博物館や北海道大などの研究グループは25日、県内にある白亜紀前期(約1億1000万年前)の地層で発見された恐竜化石が、新属新種であると結論付け、国際学術誌に論文を発表した。眠る姿勢で見つかったことと発見者名を合わせ、学名を「ヒプノヴェナトル・マツバラエトオオエオルム」(松原と大江の眠る狩人)とした。
化石は、小型の獣脚類恐竜で肉食のトロオドン科に属する。現在の鳥は獣脚類の生き残りとされ、トロオドン科はより鳥に近いグループの一つだ。世界で30種ほど見つかっているが保存状態が良いものは少なく、どのように繁栄したかは未解明な点が多いという。
新属新種と結論付けた化石は、2010年9月に県立丹波並木道中央公園(同県丹波篠山市)で、地元グループ「篠山層群をしらべる会」の松原薫さん(75)と大江孝治さん(75)が発見したほか、同館による11年の発掘調査で見つかった。上腕骨や大腿骨(だいたいこつ)、脛骨(けいこつ)が見つかり、CTスキャンで解析した結果、足の指の骨や肋骨(ろっこつ)も確認された。
トロオドン科のさまざまな化石と比較したところ、前脚の指の骨にくぼみが見られるなど、他にはない4点の特徴的な違いがあり、新属新種と結論付けた。
また、足の甲の骨の形状は、地面の衝撃を和らげるばねのような機能を持っていたと考えられる。白亜紀後期のトロオドン科に見られる形状だが、今回の発見により、この機能を獲得した時期が従来の学説よりも約3500万年さかのぼれることが分かったという。
新種の恐竜は国内で12例目。丹波篠山市と同県丹波市にまたがる「篠山層群」では、卵殻化石を除くと14年の竜脚類「タンバティタニス・アミキティアエ(丹波竜)」以来だ。
論文の筆頭著者、久保田克博・同館研究員(44)は「衝撃を吸収できるように足の構造が進化したことなどが、トロオドン科の発展に寄与した可能性がある」と説明し、「謎に包まれた進化の一端を解き明かすことができ、日本の恐竜化石のすごさを改めて実感した」と話す。
論文の掲載誌は「サイエンティフィック・リポーツ」。同館は27日~25年1月13日、「眠る狩人」の化石を展示する。【幸長由子】
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