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アーチ型天井に船大工の技巧 教会解体で判明、移設へCF 静岡

毎日新聞 / 2024年7月26日 14時0分

アーチ型天井の裏に隠れていた船の舳先のような木組み(中央)。バラ窓やドラエ神父がフランスから持ってきたマリア像、ヨセフ像(左後方)なども並ぶ=静岡市葵区で2024年7月23日、丹野恒一撮影

 老朽化で移築再建を目指している旧カトリック清水教会(静岡市清水区)の聖堂の解体が最終段階を迎えている。希少な木造ゴシック建築の解体過程では、戦前の大工の高度な技巧の痕跡も明らかになり、24日から同市葵区の松坂屋静岡店北館3階で「解体資材展」(観覧無料、9月13日まで)が始まった。【丹野恒一】

 聖堂は徳川家康の別邸「御浜御殿」跡地に、フランスから来日した宣教師のドラエ神父の構想・設計で1935年に建てられた。二つの尖塔が特徴のランドマークとして長く親しまれたが、老朽化による耐震性の問題で建て替えが決定。地元の建築家や信徒らが昨年5月に「一般社団法人旧カトリック清水教会聖堂の木造ゴシック建築を活かす会」(会員数約130人)を結成し、旧教会を宗教施設とは違う形で移築再建する道筋を探っている。

 再建時には解体資材の約9割は再利用されるという。現場から搬出された資材が並ぶ展示会場でひときわ目を引くのが、アーチ型天井の漆喰(しっくい)の裏に隠れていた、無数の細長い板で構成された木組みだ。船の舳先(へさき)のような形をしており、「活かす会」理事で建築士の松永和廣さんは「住宅専門の大工には困難な仕事だ。コンピューターのない時代に、船大工が高度な技巧を凝らし、木材だけで造り上げたカーブが美しい。この文化遺産を必ず後世に伝えたい」と話す。

 会場ではこのほか、尖塔の先に立てられていた十字架や、信徒が罪を神父に告白して神の赦(ゆる)しを得る告解部屋、ゴシック建築のシンボルであるステンドガラス風の大きな丸いバラ窓など40点余りを展示している。

 今後、旧教会を再建するには1億5000万円近くの工事費が必要となる。移築先は巴川河口近くの清水区幸町など数カ所まで絞り込まれている。解体工事は1月に始まり、7月中に終了予定。2~3年以内の着工を目指しているといい、再建後はコンサートや美術展を開く文化ホールや、育児支援施設、結婚式会場などとしての活用を構想している。

 同会は活動費に充てるため、22日からクラウドファンディング(CF)もスタートした。松坂屋静岡店などが参画するCF「しずおかMIRUIプロジェクト」のホームページから支援に参加できる。支援額に応じて、再利用できない解体資材で作ったコースターやフォトスタンドなどの返礼品が贈られる。

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