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コロナを狙って攻撃する免疫細胞を作製 京大が臨床試験を計画

毎日新聞 / 2024年7月30日 1時0分

 新型コロナウイルスに感染した細胞を標的に攻撃する免疫細胞を、さまざまな細胞に分化する能力を持つ人のES細胞(胚性幹細胞)から作ることに成功したと、京都大の河本宏教授(免疫学)らのチームが発表した。がん治療などで免疫力が著しく低下した新型コロナの患者に投与すれば、治療に役立つ可能性があるという。2027年度をめどに臨床試験を始め、29年度の実用化を目指す。

 免疫細胞は「キラーT細胞」。ウイルスに感染した細胞やがん細胞を殺す働きがある。チームはまず、ES細胞にゲノム編集を施し、投与の際の拒絶反応を起こしにくくした。その上でキラーT細胞の遺伝子を組み込み、コロナウイルス表面の突起物「スパイクたんぱく質」を見つけて攻撃できるようにした。

 こうして作ったキラーT細胞と、新型コロナのスパイクたんぱく質を発現させて感染を模した細胞を混ぜると、数時間後にはキラーT細胞が感染を模した細胞を殺していた。一方、別の健康な細胞は攻撃されなかった。今後、実際に新型コロナに感染させた細胞でも同様の効果があるかを調べる。

 この技術を用いればウイルスの種類に応じたキラーT細胞を作製できるため、新型コロナだけでなく、他の致死的なウイルスにも使える可能性を秘める。河本教授は「人類をウイルス感染による死から救うブレークスルーになればと願っている」と話す。

 T細胞を用いた治療では、患者の血液から採取したT細胞の遺伝子を改変して攻撃力を高め、患者に戻す「CAR―T療法」が既に一部のがんに対して実用化されている。ただ、この方法では患者本人にしか使えず、作製に時間もかかる。これに対し研究チームは、あらかじめES細胞からキラーT細胞を作って備蓄しておけば、多くの患者にすぐに投与できる強みがあるとしている。【菅沼舞】

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