元の塔解体し大規模に再建か 道鏡ゆかりの寺跡で基壇確認 大阪
毎日新聞 / 2024年8月1日 17時0分
右側の塔基壇を造るにあたって、左側の軟弱な地盤を改良したとみられる痕跡。左側中央上部の並列した3個の石は塔基壇の土の流出を防ぐために置かれたと考えられるという=大阪府八尾市で2024年7月30日午後2時50分、新宮達撮影
大阪府八尾市は1日、奈良時代の称徳天皇と僧侶・道鏡が建立したとされる由義(ゆげ)寺跡(同市東弓削3)から凝灰岩の切石(きりいし)約15点が見つかったと発表した。前身の寺の塔を解体して建材を転用し、大規模な塔に造り替えようとしたとみられるという。
2018年に国史跡に指定された由義寺跡は、区画整理事業に伴う16年の発掘調査で奈良時代の瓦が大量に出土。その後に一辺が約21メートルに及ぶ基壇(建物の土台)が見つかり、遺構の東端で一辺が約17メートルの別の基壇も確認された。
今回、東端の地表から約3・7メートル下で切石や平瓦、丸瓦などが見つかった。大きな切石は長さが約80センチ、厚さが約25センチあり、表面が風化していたことなどから、前身の弓削寺の塔基壇の階段部分の踏み石などを転用した可能性があるという。
この深さでは大量の地下水が湧き出ており、軟弱な地盤を固めた痕跡もあった。粘質土と砂質土を交互に重ねて固める工法「版築(はんちく)」や約1・5メートルの盛り土を確認。塔を建て替える際の地固めとみられ、東端はそのままに一辺が約17メートルの基壇を官寺(国直轄の寺)である大安寺(奈良市)に匹敵する約21メートルに拡張したと考えられるという。
続日本紀では、770年に由義寺の塔の建設に携わった95人に位階が与えられたと記されているが、称徳天皇は間もなく亡くなっている。塔の規模が分かる文献などはない。
菱田哲郎・京都府立大教授(考古学)は「塔は完成後それほど時を置かずに基壇を拡張して再建されたことが明瞭となった。一帯のかなり深いところで恐らく金堂跡などがあるとみられ、どのくらい広がっていくのか確認する必要がある」と話している。
4日に現地説明会
八尾市は調査をいったん終了し、史跡公園としての整備を進める予定。現地説明会は4日午前10時~午後1時。少雨決行。問い合わせは市観光・文化財課(072・924・8555)。【新宮達】
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