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花火大会、開催見送り相次ぐ 「天候」だけでない中止の理由

毎日新聞 / 2024年8月3日 14時0分

多くの人が心待ちにする夏の花火大会。大輪を咲かせた2023年の「びわ湖大花火大会」の様子=大津市柳が崎のびわ湖大津館で2023年8月8日、飯塚りりん撮影

 夏の風物詩として人々を楽しませてきた花火大会。だが、中止を余儀なくされるケースが各地で相次いでいる。夏の夜空を彩る花火大会を中止に追い込むのは、ゲリラ豪雨などの悪天候だけとは限らないようだ。

 「花火の燃えかすで車が汚れている」

 徳島県鳴門市の撫養(むや)川沿いで開催されてきた「鳴門市納涼花火大会」。新型コロナウイルス感染拡大に伴う中断を経て、4年ぶりの開催となった2023年の大会が終わると、近隣住民から花火の燃えかすによる車の汚れなどに関する問い合わせが17件寄せられた。

 例年5000発ほどが夏の夜空を彩り、23年は市の人口(当時約5万4000人)を上回る人出を記録した県内屈指のイベントだった。

 しかし、市や商工会議所、観光協会で作る実行委員会は24年については中止を決定した。

 市が憂慮したのは車への影響だけではなかった。

 会場付近には新たな住戸の建設が進む住宅街があり、屋根にソーラーパネルを設置する家々が増えた。

 これまでの花火大会では翌日以降に住民から連絡があると、市職員らが自宅を訪問し、洗車して燃えかすの汚れを除去する対応を取ってきた。23年はパネルに関する相談は寄せられたものの、実害は確認されなかった。もし実害が生じれば屋根に上がって作業するなど洗車以上の対応が想定される。

 実行委は、会場を移して同規模での開催を模索したが、安全性の確保や山林火災の恐れがないなどの条件をクリアできる場所が見つからず、中止を余儀なくされた。

 来年は規模を縮小し、他のイベントと一緒に別会場で開催したい考えだ。

 燃えかすを理由に24年の中止が決まった花火大会は、他にもある。

 千葉県船橋市で行われる「船橋港親水公園花火大会」は、23年の花火で、会場付近の港に停泊するプレジャーボートに汚れや焦げ付きの被害があったことなどから実行委員会が中止を決めた。

 埼玉県狭山市の納涼花火大会も、住宅や道路、車への燃えかす飛散の対策などを理由に見送りが決まっている。

 兵庫県三田市の「三田まつり」は、23年に打ち上げ場所を変更するなど対策を講じたが、今年の花火については断念することを発表した。

 23年は周辺に住む住民への配慮や混雑回避などを理由に、打ち上げ場所を市中心部の川の橋上から、少し離れた運動公園に変更していた。

 「良かれ」と思っての選択だったが、寄せられたのは「見えにくい」という苦情だった。さらに、燃えかすが周囲の森林に落ちて火災を招く恐れもあり、今年の花火の打ち上げは困難と判断した。

 「おもちゃの花火を公園でやるのでさえ苦情が来ます。花火大会の音がうるさくて勉強ができないと言う人もいます。当日の風向き次第で突然、燃えかすが問題になるかもしれません」

 全国の製造・販売業者が加盟し、花火を安全に楽しんでもらうための活動などを担う公益社団法人「日本煙火協会」(事務局・東京都)の河野晴行専務理事は、花火を取り巻く状況を説明したうえで、「何十年も続く歴史ある大会だってあるので、それぞれの事情にしっかりと目を向けていく必要があると思います」と話した。【千脇康平】

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