134人が被爆死 長崎・平和公園内に今も残る被爆遺構とは
毎日新聞 / 2024年8月8日 5時0分
長崎市の平和祈念像が現在建つ平和公園の一帯は被爆前、長崎刑務所浦上刑務支所だった。公園内には今も建物や塀の基礎の一部が被爆遺構として残っている。
長崎原爆戦災誌によると、1945年8月9日に米軍が投下した原爆で、高さ4メートル、幅25センチの鉄筋コンクリート塀は根元から倒壊。木造の庁舎も炊事場の煙突1本を残して倒壊し全焼した。職員18人と官舎に住んでいた家族35人、収容者81人の計134人が被爆死した。
公園の地下駐車場の工事に伴い92年、刑務支所の基礎などが見つかった。犠牲者の中には13人以上の朝鮮半島出身者や、県内の炭鉱で強制労働させられた末に刑務支所に収容された中国人32人が含まれ、市民団体が遺族を掘り起こしていった。
市民有志らが2008年7月、公園内に中国人犠牲者32人の名を刻んだ浦上刑務支所中国人原爆犠牲者追悼碑を建立した。その後は毎年7月に追悼式を開催。今年は中国から訪れた元労働者の遺族・家族や、長崎の被爆者、市民ら約90人が参列した。
追悼碑維持管理委員会共同代表で被爆2世の平野伸人さん(77)は追悼の営みについて「戦争や原爆の歴史を中国をはじめとするアジアの人々の視点から直視していくことが、二度と戦争の歴史を繰り返さないという決意を心に刻む時間になると信じている」と強調。「真の隣人としての日中関係を築くためにも歴史を振り返っていかなければならない」と語る。【尾形有菜】
長崎刑務所浦上刑務支所
1927年に浦上の丘陵地帯を切り開いて造られた。約2万平方メートルの敷地に木造庁舎(約1万3000平方メートル)があった。爆心地の北約200メートルに位置し、爆心地に最も近い公共建造物だった。
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