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南海トラフ臨時情報「対応難しい」 懸念地域では戸惑いの声も

毎日新聞 / 2024年8月9日 20時48分

海水浴客がまばらな白良浜海水浴場=和歌山県白浜町で2024年8月9日午後2時11分、本社ヘリから西村剛撮影

 東海沖から九州沖にかけて「南海トラフ巨大地震」への注意を呼び掛ける「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されてから一夜明けた9日、地震発生が懸念される地域では対策が始まった。緊張感を保ちつつも「日常通り」を心がける場所もあり、初めて出される情報に「対応が難しい」と戸惑いの声が漏れた。

 神奈川・湘南地域にある「片瀬西浜・鵠沼(くげぬま)海水浴場」(藤沢市)。江の島に近く、昨夏には約100万人が訪れた人気スポットだ。

 南海トラフ地震臨時情報の発表を受け、海水浴場を運営する「江の島海水浴場協同組合」は9日から、安全対策を強化した。これまでは地震が起きた場合でも、ライフガードと協議して海水浴客への対応を決めていたが、当面は藤沢市内で地震を検知した場合、震度の大きさにかかわらず遊泳中の人をただちに浜辺に上がらせる。担当者は「安全第一で運営していく」と話した。

 関西有数の行楽地・和歌山県白浜町は9日から1週間程度、町内4カ所全ての海水浴場の閉鎖を決めた。9日朝に防潮扉が閉められ、閉鎖を知らせる紙が掲示された。大江康弘町長は「観光への影響が大きく、苦渋の決断だったが安全を最優先に考えた」と説明した。

 観光地としても知られる伊豆諸島の新島(東京都新島村)。村の観光案内所によると、島を訪れていた外国人夫妻が9日午前に窓口を訪れ、「海で泳いでも大丈夫なのか」と不安げに尋ねてきたという。案内所の職員は観光に制限はなく、もしものときは放送に従って避難するよう伝えた。

 新島は、南海トラフ巨大地震に伴う津波により、東京の離島で最も深刻な被害が想定されている。都の被害想定では、住人約2000人のうち最大800人超が亡くなるとされる。

 島内の複数の旅館によると、現時点で宿泊のキャンセルはないという。ある宿泊施設のスタッフは「今年は7月から利用者が多く、ファミリー層と海外からの観光客で来週も予約でいっぱい。様子を見ながら島を楽しんでほしい」と話した。

 年間を通じて海上花火大会が開かれる静岡県熱海市。8日も花火が打ち上げられ、約1万2000人が訪れた。8月は中旬以降に2回行う予定だ。熱海市は、南海トラフ巨大地震の津波避難対策特別強化地域に指定されている。市の担当者は「行政として花火大会の中止などを求めることはないが、臨時情報がいつ解除されるのかも分からず、今後の対応を決めかねる」と気をもんでいる。

 静岡県の鈴木康友知事は9日の定例記者会見で「巨大な地震に注意しつつ、落ち着いて行動してほしい」と呼び掛けるとともに、1月の能登半島地震を教訓に「空や海からの物資輸送を想定し、ヘリポートや護岸の整備などの計画を常にブラッシュアップしていきたい」と話した。【井口慎太郎、高橋昌紀、最上和喜】

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