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超絶技巧の漆作品が共演 能登の被災工房、復興願い国宝と展示会

毎日新聞 / 2024年8月11日 18時20分

「秋晩蒔絵聖卵」など北村辰夫氏の名品が並ぶ会場=奈良市の春日大社国宝殿で2024年8月11日午前11時18分、山口起儀撮影

 能登半島地震で被災し、現在は金沢市に拠点を移して活動する石川県輪島市の漆工工房「雲龍庵(あん)」の創設者・北村辰夫氏の作品を展示する「春日漆の国宝と雲龍庵の漆芸―世界が認めた超絶技巧―」が11日、奈良市春日野町の春日大社国宝殿で始まった。古典的な技法に独創性を加えた、時代を超えた漆の美の名品が輝きを放っている。12月13日まで。

 北村氏や薫陶を受ける若手作家の現代作品と優雅で古風な王朝美術の代表作である春日大社の国宝の漆芸品など計65作品を展示。雲龍庵の作品の所蔵者と春日大社、北村氏の3氏で能登半島地震の前から企画していたが、震災を受け「復興を目指す能登地方を活気づけよう」と、時期を早めて開催した。春日大社によると、北村氏の作品が県内で披露されるのは初めて。

 北村氏は高度な漆塗りの伝統技術を次の世代に伝えながら、若手作家と共同で新たな漆塗りの技法を創造する日本を代表する漆芸作家の一人。1993年から欧州や米国などで個展やグループ展を開催するなど世界でも高く評価されている。被災により雲龍庵は閉鎖中だが、在籍する若い作家たちのために「製作を止めてはいけない」と、臨時の工房を金沢市に設け、創作活動を再開している。

 会場は色鮮やかな漆作品が並んでいる。代表作「秋晩蒔絵聖卵(あきのくれまきえせいらん)」は、朱から黒へと頂部から段階的に色を変える聖卵を3匹の蜻蛉(かげろう)型の台座が支える。台座は緑、紫、金も配して色鮮やかで独特の世界観を表現した。北村氏は鑑賞者の感性を重視するため作品説明を置かないことで知られ、作品横の所蔵者のコメントでは「キリスト復活を祝うイースターエッグを漆工の最高の技術で表現しており、大いに魅了された」などと記載されている。

 愛媛県から訪ねた教員の男性(42)は「現代の作品が国宝と並んでも遜色なく、際立った美しさを放っている」と話していた。

 午前10時~午後5時(入館4時半まで)。10月15日休館。拝観料は大人500円、高校・大学生300円、小中学生200円。問い合わせは春日大社(0742・22・7788)へ。【山口起儀】

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